孤高の狼少女 (ページ6)

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５　新しいName ページ6

「……狼花」
桐生戦兎さんが呟いた。
「狼に花で狼花ってどうだ？」
「ろうか？変な名前だな」
「変って言いなさんなよ。オオカミフルボトルを持ってたから狼。んで、女の子は花ってつけたら喜ぶかなってことで花。二つ合わせて狼花。可愛いっしょ！天っ才っしょ！」
桐生戦兎さんが私に詰め寄る。
『は、はあ……。素敵な名前だと思います』
「何か嫌そうじゃねえか？」
『い、いえ！全然！狼花……。名前をつけてくれて、ありがとうございます』
何度か呟くと舌に馴染む名前だ。
「さ、そうと決まればウルフフルボトルの解析を初めますか。もしかしたら新しい武器が作れるかも！」
桐生戦兎さんが叫びながら作業台に向かう。何だか、独特な人だな。子供みたい。
「花ってつけたら喜ぶなんてどこの知識だよ。本当なのか？美空」
「そんなわけないじゃん。少なくとも私は嬉しくない。美空って気に入ってるし。狼花は？」
『え？』
突然名前を呼ばれて少し驚いた。こんなに自然に呼んで来るなんて思ってなかった……
『いいと思います？花って綺麗だし。それが桐生戦兎さんのセンスなんじゃないでしょうか……？』
私の声を聞いたからなのか、桐生戦兎さんが勢いよく振り向いた。
「戦兎」
『はい？』
「桐生戦兎さんなんて堅苦しいじゃん。敬語も無しね。これから一つ屋根の下で一緒に暮らすわけだし、もっと軽く呼んでよ」
『……わかりました。じゃなくて、わかった。戦兎……さん』
「いや、だからさん付けも……」
「なあ、俺も呼んでよ！龍我！」
『龍我さん』
「私も！」
『美空さん？』
戦兎さんは複雑そうな笑みを浮かべた。一方で龍我さんと美空さんはとても嬉しそうな笑顔を浮かべている。二人の上に一瞬花が見えたのはきっと気の所為だろう。戦兎さんはまた作業台に向かった。