４ 私はMystery ページ5
緑色の煙が充満して、私が押し付けられる。ガスマスクをつけた人達が大勢いて、その奥で蝙蝠男が座っていた。私は何かのカプセルに入れられる。何なの？これ……
『っ……』
私は薄っすらと目を開いた。見慣れない天井が見える。あれ、見慣れないって何で……？すると、私の視界の中に一人の男の人が入ってきた。
「お、起きた。大丈夫？」
その男の人が私に聞いてくる。私はゆっくりと身体を起こした。おしゃれな部屋だけど、何だか実験室に似てる？あともう一人、男の人が壁によりかかっていた。どこ、ここ……？
「気を失ったからとりあえず連れて来たんだ。俺は桐生戦兎。こっちのは万丈龍我。君は？」
『私、は……』
私は、誰？何も思い出せない……。
『……わからない』
私が答えると、二人は顔を見合わせた。
「本当に何も覚えてないのか？」
壁によりかかってた人、万丈龍我さんが尋ねる。
『……ガスマスクと蝙蝠男がいて、その後、変なカプセルに入れられた。で、気づいたらあそこに……』
「俺達と同じだ」
桐生戦兎さんが呟く。そして、桐生戦兎さんは自分達が何者なのか教えてくれた。私と同じように人体実験の被験者にされたこと、仮面ライダーとして皆を守っていること、私がスマッシュと言う怪物に狙われているかもしれないこと。
『私、何も知らないのに狙われてるんですか？』
「もしかしたら君にも俺達と同じくらいネビュラガスの耐性があるのかもしれない。それなら君がボトルの力を使えたことにも納得がいく」
『ボトル？』
桐生戦兎さんは私に銀色のボトルを差し出した。それは不思議と私の手に馴染む。ボトルには狼のマークがついていた。
『ウルフ……』
「そう、それは狼のフルボトルだ。元々フルボトルは……」
「そんなことより、こいつどうすんだよ。このままここに住ませるのか？」
万丈龍我さんが私を指差す。確かに私はこれどうなるんだろう？
「ここに住めば良いじゃん」
また別の声が上から降ってきた。鉄の階段を一人の女の子が降りてくる。そして可愛らしい顔で私に水の入ったコップを渡した。
『あ、ありがとう……』
あれ、この子どこかで見たことあるかも……？
「ここ、男しかいなくてむさ苦しいし。可愛いし。話し相手欲しいし。あ、私美空って呼んで」
「元からそのつもりだ。ファウストに狙われてるかもしれないし、ここに居たほうが安全だろう」
「じゃあ何て呼べばいいんだ？名前がないと話しにくいだろ」
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作者名：亜叶緒夜鳴 | 作成日時：2023年3月24日 17時
