２ サヨナラのScience ページ3
一ヶ月後、兄さんだけではなく三羽ガラスまであのバイトに入り浸るようになった。何か聞いても「お前は心配しなくていい」「俺達が何とかするんで！」の一点張り。全くどんなバイトをしているのやら……。まさか、違法なバイトだったりして……。いや、兄さんに限ってそんなことはありえないはず！でもやっぱり気になる……。
「じゃあ行ってくるわ。A、あとよろしくな」
『は〜い』
今日も兄さんと三羽ガラスはバイトに向かった。そして私はこっそりとその後をつける。兄さん達は何やらよくわからない研究所へ入って行った。
『ここは……？』
私は近くにあった窓から中を覗き込む。建物の中にはガスマスクをした人が沢山いた。何だか、怪しい……。すると、そこへ兄さん達が現れる。四人はそれぞれ何かのカプセルに入った。ガスマスクをした人達がレバーを引く。カプセルの中はガスで充満した。
『何をやってるの？』
「教えてやろうか？」
背後から機械音に混じった声が聞こえた。私は素早く振り返る。そこには赤紫のスーツを着た怪しい人物が。
「猿渡Aだな？」
『……』
逃げたほうが良い。本能がそう告げていた。
「俺と一緒に来い。お前の兄が何をしているのか教えてやるよ」
そう言ってその人物が笑った。いや、マスクでよくわからなかったけど。
『本当に教えてくれるの？兄さんが何をしているのか』
「ああ、教えてやるよ。あいつらがやっている人体実験を」
その人物が答えた途端、私の首に激痛が走った。意識が少しずつ薄れて行く。
「確かに教えてやる。その身をもってな」
緑色の煙。
ガスマスク。
人体実験。
蝙蝠男。
助けを呼ぶ被験者。
私は押さえつけられて……
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作者名：亜叶緒夜鳴 | 作成日時：2023年3月24日 17時
