孤高の狼少女 (ページ17)

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16　消え行くBlue ページ17

［ク、ク、食らいつけウルフ！シシ死へのカウントダウン！BadMatch！AAA,Are You Dying?］
機械音がおかしい。所々雑音が混じっている。音と同時に私は狼に飲み込まれた。ロボットは姿を変えて私の身体にフィットする。白銀のボディに青色のライン。頭に狼の冠が乗る。身体を流れる電流は私を苦しめたが、それ以上に身体の中から湧き出る力のほうが大きかった。
『……私が……助ける』
戦兎さんの真っ黒な身体に拳を突き出した。戦兎さんも同じように拳を突き出す。お互いの攻撃がぶつかり合い、衝撃波が巻き起こった。きっと生身だったら耐えきれてない。
『はぁっ！』
私は次々と蹴りや拳を繰り出す。最初はどちらも同じくらいの力だったが、この姿に慣れてきた私が戦兎さんを押し始めた。少しずつ端に追いやる。身体を流れる電流にも慣れてきた。これなら……！私はもう一度狼の頭を押す。これでキメる！
［……Error……］
『嘘っ!?……うわっ!?』
必殺技を繰り出そうとしたらエラーになった。やっぱり今のままじゃ駄目ってこと？仕方ない。私は戦兎さんに接近してドライバーに直接蹴りを入れた。火花が散って戦兎さんのドライバーからハザードトリガーが外れる。それと同時に戦兎さんの変身が解除された。
「俺は……何を……？」
『やった！……っ!?』
戦兎さんが正気に戻って喜んだのもつかの間。次の瞬間には私の身体を一等激しい電撃が貫いた。痛みに耐えきれず膝をつく。
［アニマルモード］
ウルフが自動的にいつもの姿に戻って変身を解除した。私はさっきの戦いで倒れた青羽を見る。グリスが抱き上げるが身体から吹き出す煙は止まらない。
「心配だな……。カシラもアネキも俺がいないと何にも出来ないんだから……」
『そんな……』
私の目から静かに涙が零れ落ちた。
「何があっても、一緒ですよ」
青い光となって青羽の姿は消えた。消滅した……。私の心がずんと重くなる。
「嘘だろ……？俺がやったのか？」
戦兎さんは戸惑いを隠せずに私を見つめる。あの青羽が死んだ。いつも冷静で、優しい青羽が……。待って、一度もまともに話していないのに何でそんなことがわかるの？残りの二人は戦兎さんに罵倒を飛ばしながら向かって来るが、グリスがそれを止めた。
「行くぞ、お前ら」
その顔はよく見えなかったけれど、声から泣いているんだとわかった。グリス達は戦兎さんに背中を向けて去って行く。私は思わずその後ろ姿を追いかけた。
「狼花！」
龍我さんの声は聞こえないふりをした。