孤高の狼少女 (ページ16)

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15　暴走のTank ページ16

『猿渡A……』
何度も呟いている。やっぱりどこかしっくりくる名前だ。私、あのグリスの妹だったんだな……。戦兎さんが出て行って数時間。どこか胸騒ぎがする。龍我さんを止められたのかな？あれ、使ってないだろうか？あれとはハザードトリガーのことだ。スタークから戦兎さんが貰った強化アイテム。ただ、それを使うと自我を失ってしまうらしい。もしも使っていたら……。
「狼花！」
地下から突然美空さんか出て来た。
「万丈の居場所がわかった！たぶん戦兎もそこに向かってる。三羽ガラスも。もしかしたらグリスが来るかもしれない」
『……私、行ってくる！』
美空さんからその場所を聞いてウルフを連れてカフェを飛び出した。

辿り着いた時にはハザードトリガーで変身した戦兎さんが三羽ガラスを痛めつけていた。先に赤羽と黄羽が倒されて人間の姿に戻る。龍我さんは少し離れた所で蹲っていた。そして戦兎さんは青羽に向けて必殺技を放つ。火花が散って青羽が倒れた。それでもまだ戦兎さんは止まらない。
『やめて！』
気づけば三羽ガラスと戦兎さんの間に割り込んでいた。
「駄目だ……。アネキも、死んじまう……」
三羽ガラスの声が背後から聞こえる。戦兎さんは私がわかっていないのか、こちらに向かってくる。
　バリバリッ
ウルフが電撃を放って一時的に戦兎さんを止めるがあまり効果がない。
「赤羽！黄羽！青羽！A！」
グリスが駆け寄る。すぐさまスクラッシュドライバーを装着しようとしたが、私のほうが早かった。
『来て、ウルフ！』
［ドライバーモード］
ウルフがドライバーとなって私の腕の中に収まる。龍我さんが驚いた顔で私を見ていた。
『まだその時じゃなくても、私は戦兎さんを助けたい。力を貸して！』
ドライバーを腰に巻いてウルフフルボトルとドラゴンフルボトルを振る。どちらも人と共鳴するボトルだ。この組み合わせなら可能性はある……！
［ウルフ！ドラゴン！……BadMatch……］
ドライバーが告げたと同時に私の身体に電流が流れる。激しい痛みに耐えながら、私は戦兎さんを真っ直ぐ見つめた。
『っ……変身！』
私の背後に巨大なオオカミ型のロボットが現れた。