14 信じるRabbit ページ15
戦兎side
狼花が何者か分かった後、俺と万丈はまたもや対立してしまった。さらにボトルの保管場所が攻撃を受けたと聞いてそこに向かったが、パワーアップした三羽ガラスに敗北。さらに、万丈とは完璧に決裂してしまったのだ。
「クソっ……」
俺はカフェで小さく呟いた。少し離れた所に狼花が座っている。
『……龍我さんとまた喧嘩したの?』
狼花が聞いてきた。
「あいつは戦争のことなんてどうでもいいんだ。戦うことしか頭にねぇ。ちょっと強くなったからって、あの筋肉馬鹿……」
俺は自分でも驚くほど忌々しそうに言った。でも、それが本心だった。
『……違うんじゃないかな……』
「え?」
思ってもいなかった言葉が飛び出した。
『たぶん、龍我さんは戦兎さんのことを思ってやってるんだと思うよ?』
「俺のために?」
狼花はゆっくりと頷いて俺を見つめた。
『元を正せば自分のせいで戦争が起こってるって戦兎さんが感じてると思って、その戦争を早く終わらせるために、戦兎さんを後ろめたさから開放するために、戦っているんだと私は思うな。まあ、本当の所はわからないけど……。自分の力を示すとか、暴れるとか、そんなために戦う人じゃないよ』
そう言って優しく笑った。
『戦兎さんならその気持ち、わかるんじゃない?』
「万丈の……気持ち……」
もしも、本当に万丈がそう思って戦っているなら。もしも、誰かのために戦っているなら。俺がこんなことしてる暇はない。だって、俺が本当の正義のヒーローだから。
「狼花、ありがとう」
俺はコートを持って駆け出した。ラブ&ピースのために。そこには万丈も入っていて欲しい。万丈は俺が止める。例え、この命をかけても……!
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作者名:亜叶緒夜鳴 | 作成日時:2023年3月24日 17時