1 最高のBrother ページ2
「A!そっちの収穫終わったか?」
『うん。大体終わったかな』
私は最後の人参を引っこ抜いて兄さんを見た。
「カシラ〜!こっちも終わりました!」
少し向こうで赤羽達が叫んだ。
私は猿渡A。ここは北都にあるとある農場。私はここで兄の猿渡一海、赤羽、青羽、黄羽と共に働いている。皆は私の家族だ。私達はここで農家を営んでいる。それも経営崖っぷちの。
「カシラ、やっぱりこのままじゃ生活費が足りないっすよ」
「明日の飯も怪しい……」
「他の仲間達の給料どうします?」
三羽ガラスの言葉を聞いて、兄さんが頭を抱える。私達の農場は元々美味しい野菜が取れることで有名だった。でも、スカイウォールの惨劇の後、ここら一帯は不毛地帯となり、ほとんど植物が育たなくなってしまったのだ。
「やっぱここは俺が何とかする。実はバイトの求人見つけたんだ。何かの実験のな」
『本当!?だったら皆で行こうよ!』
「いや、駄目だ。ここは俺一人で行ってくる」
『どうして?』
「バイト内容は実験だ。もしかしたら危険なことかもしれねえ。それなら俺だけで充分だ。給料たっぷり貰ってくるから、待ってろよ!」
そう言って兄さんは走り出した。
「アネキ、カシラ大丈夫っすかね?」
『うん……。少し心配だけど、兄さんを信じよう』
少し、嫌な予感がしたのは気の所為だ。きっと……
夜になって兄さんは帰ってきた。心なしか少しボロボロになって。兄さんはバイトについては何も語らなかった。ただ、その手には大金が握られていた。
「カシラ!凄いっすよ!」
「やった〜!」
「流石です!」
『体調は大丈夫なの?』
「おう。この通りピンピンしてるぜ。そうだ、これからも定期的にバイトしに行くから、たまに仕事抜けるわ」
そう言って兄さんは少し辛そうに笑った。
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作者名:亜叶緒夜鳴 | 作成日時:2023年3月24日 17時