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偶然 ページ10

◇◇









「あら?不死川様、お久しぶりですね」


「…あ?」



二十五歳になったばかりの秋頃。


三つになったばかりの桜寿郎を連れて街へ出ていると、昔の彼の同僚に偶然出くわした。







「お元気そうで良かったです」



不死川さんに最後にあったのは、確か鬼殺隊の解散時


しかし、痣の出現により、二十五までしか生きられないという話は聞いて心配していたが、私の二つ上だというのに以前とあまり変わりない姿で安心した。









「…だから、

本当に大切な奴は巻き込むもんじゃねぇんだ」



不死川さんに、一度宝探しを手伝ってもらってから、定期的に会うようになった宇髄さん達の話をしていると、不死川さんはボソッと悔しそうにそう呟く。








「…?」



急に険悪な表情になる不死川さんに、なぜ怒っているのか首を傾げて考えていると、柱の癖に結婚なんてするからだと顔を顰める不死川さんに、私は思わず笑ってしまった。








「何笑ってやがる」


「ふふっ、ごめんなさい」



この人は見た目に反して、とても優しい。



しかし、それを言うと照れて怒ってしまうので、黙って笑い続けていれば、本当に怒ってしまったのか、突然じゃあなと私に背を向ける。









「あらあら。さような…」



スタスタと遠ざかる不死川さんの背中に、私がまた笑って別れの挨拶をしようとした瞬間、私は驚きで言葉が途切れる。









「っ不死川さ、…!」




不死川さんが、道の真ん中で気を失うように倒れた。



















「…ここは」



桜寿郎が一人で動き回るため、落ち着くよう注意しながら水を入れた湯呑みを運んでいると、不死川さんの困惑したような声が聞こえる。









「やっと起きられましたか」


「…あ?」


頭が痛いのか、額に手を当ててガラの悪い声をあげる不死川さんは、驚いたように私を見る。








「人様の家の台所に立つのは失礼かと思ったから、

水だけお入れしたのだけれど」



お飲みになれますか?と笑いかければ、記憶を整理しようとしているのか、あぁと大人しい声が返ってくる。







「私と話した後、道でお倒れになったんですよ」



そして、私一人ではとても不死川さんを抱えることはできないので、通りかかったご夫婦に声をかけたと話せば、不死川さんは裏の…と納得したように頷いた。









優しさ→←再認



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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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- 涙止まらん。最高です (8月18日 23時) (レス) @page6 id: daa8a87cdb (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 初めてのコメント失礼します!メチャ号泣しました! ほんとに感動しました! (2022年3月29日 17時) (レス) @page33 id: 70da419123 (このIDを非表示/違反報告)
西川あや(プロフ) - つんつくさん» お返事遅くなってしまって申し訳ありません。暖かいコメントありがとうございます!手紙の内容については煉獄さんの性格などを色々悩んで書いたところなので、そう言っていただけるととても嬉しいです。 (2021年2月27日 21時) (レス) id: be0c2f3b60 (このIDを非表示/違反報告)
西川あや(プロフ) - みっちゃんさん» 2度も素敵なコメントありがとうございます!嬉しいコメントばかりで、物語を書くにあたって凄く励みになりました!お返事遅くなってしまって申し訳ありませんが、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。 (2021年2月27日 21時) (レス) id: be0c2f3b60 (このIDを非表示/違反報告)
つんつく(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。この度は完結おめでとうございます。作品のファンになりずっと楽しみに読ませていただいてました。煉獄さんの手紙にはいつもいつも泣かされました素敵すぎです。美しくとっても素敵な作品をありがとうございました。 (2021年2月4日 15時) (レス) id: 60af00218e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年11月21日 1時

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