祝言 ページ22
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「冨岡様の具合はどうですか?」
「…最近では
食事はほとんど喉を通らないそうです」
そろそろなんでしょうかと、兄弟子である冨岡さんを想って悲しそうに眉を下げる炭治郎くんに、私はそう悲しむことではないと笑いかける。
幸いなことに、痣者の寿命を乗り越えたのは不死川さんだけでなく、冨岡さんが二十五を過ぎても息災だという話は宇髄様伝に聞いた。
「不死川さんは、
とても安らかにお眠りになられました」
きっと、御家族や御友人たちと再会できたのでしょう
そう言って炭治郎くんの頭を撫でてあげると、もう子どもではないので…と恥ずかしそうに眉を顰める。
「しかし、痣者といっても
症状は人によってそれぞれなのですね」
冨岡さんと違って、不死川さんは最後まで元気そうに食事をしていたけれど…と不思議に思って呟くと、炭治郎くんは物言いたげに口を閉ざし、誤魔化すように笑顔を浮かべる。
その後、炭治郎くんから善逸くんや禰豆子ちゃん、伊之助くんのお話を沢山聞いて、私は千寿郎の結婚式が始まる前だというのに、笑いすぎてお腹がとても痛くなってしまった。
◇◇
式の最中、千寿郎と正子さんの幸せそうな顔を見て、義弟がこんなにも大きくなったのかと感動していると、あっという間に時間は過ぎ、滞りなく式は完了した。
「ぜひ杏寿郎さんにも見せてあげたかったわね」
「そうですね!」
少し早めに帰るという炭治郎くんを門まで送りながら、2人で千寿郎達の結婚式の感想を言い合う。
正子さんが綺麗だったとか、千寿郎の幸せそうな照れた顔とか、炭治郎くんは門についても足を止めて、そのまま話に付き合ってくれる。
「あ!そういえば、新聞で拝見しましたよ!」
ムフフと可愛らしく笑う炭治郎くんは、さすがAさん!と自分の事のように喜んでくれる。
Aさんの名前が乗っていると必ず善逸が買ってきてくれるのでと、何度も私を賞賛する炭治郎くんに、私は小さく首を振る。
「私のしていることなど
あなた達が成し遂げたことの比にならないわ」
今も平和な世の中があるのは、鬼殺隊のおかげだもの
そう言って笑いを零せば、炭治郎くんもニッコリと笑顔を浮かべた。
◇
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雫 - 涙止まらん。最高です (8月18日 23時) (レス) @page6 id: daa8a87cdb (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - 初めてのコメント失礼します!メチャ号泣しました! ほんとに感動しました! (2022年3月29日 17時) (レス) @page33 id: 70da419123 (このIDを非表示/違反報告)
西川あや(プロフ) - つんつくさん» お返事遅くなってしまって申し訳ありません。暖かいコメントありがとうございます!手紙の内容については煉獄さんの性格などを色々悩んで書いたところなので、そう言っていただけるととても嬉しいです。 (2021年2月27日 21時) (レス) id: be0c2f3b60 (このIDを非表示/違反報告)
西川あや(プロフ) - みっちゃんさん» 2度も素敵なコメントありがとうございます!嬉しいコメントばかりで、物語を書くにあたって凄く励みになりました!お返事遅くなってしまって申し訳ありませんが、最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。 (2021年2月27日 21時) (レス) id: be0c2f3b60 (このIDを非表示/違反報告)
つんつく(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。この度は完結おめでとうございます。作品のファンになりずっと楽しみに読ませていただいてました。煉獄さんの手紙にはいつもいつも泣かされました素敵すぎです。美しくとっても素敵な作品をありがとうございました。 (2021年2月4日 15時) (レス) id: 60af00218e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年11月21日 1時