短期合宿 ページ5
◇◇
夏休みまであと数週間、今日は一泊二日の合宿の初日である。
毎年この二日間は、色々と備品の揃っている梟谷高校で合宿を行っているらしいのだが、前回はまだ入部していなかったため、私はこれが初になる。
「は、初めまして！大滝真子です！」
森然の新しいマネ、一年生の真子ちゃんがそう挨拶をする。
梟谷についてすぐ、朝からマネの会議のために招集され、指定された部屋に入ると、見慣れたメンバーに加えて、可愛らしい女の子が増えていた。
「じゃ、これでいいね？」
「おっけー」
以前の森然と生川の先輩二人は既に卒業してしまったため、かおりを中心に担当を決め終わると、初めましての真子ちゃんのために、私たちはそれぞれ自己紹介をすることになる。
雪絵とかおり、英里が順番に挨拶し終わると、最後はAね！と名前を呼ばれたため、私は真子ちゃんに笑顔で手を差し出す。
「初めまして、音駒の一条Aです！
先輩ばかりだけど、気使わなくていいからね」
よろしくと言って手を握ると、はいっと元気に答えるまこちゃんは、にっこり笑い返してくれた。
・
解散後、先にドリンクを作りにいこうと水道へ向かうと、早速ドリンクを作る真子ちゃんを見つける。
「っまーこちゃん！」
「あ、こんにちは！
えっと、Aさん…であってますよね？」
少し不安げに聞いてくる真子ちゃんに、正解！と言って手で丸を作ると嬉しそうに笑ってくれる。
暑いね〜なんて二人で適当な会話を交わしたあと、単純作業に慣れてしまった私は、真子ちゃんにそういえばさと話しかける。
「真子ちゃんはなんでマネ始めたの？？」
「うーん。結構普通な理由ですよ？」
そう言う真子ちゃんは、部活見学でたまたまバレー部を見ていたら、そのまま勧誘されて入部しちゃってましたと楽しそうに話してくれる。
すごい勇気だねと驚いて私が言うと、Aさんはどうしてマネージャーを？と聞いてくる真子ちゃん。
ドリンクの粉を水と混ぜてシャカシャカ降りながら、なんて言おうかと考えていると、何か素敵なドラマが…！と期待を含む視線を向けてくる。
「…う、運命の出会いを探して！」
「へ、？」
キラキラし私を見てくる真子ちゃんに、イケメン目当てなんて言えず、目を逸らしながらだいぶ話を誇張して答えると、運命…と混乱したように呟いた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 596人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：西川あや x他1人 | 作成日時：2020年8月5日 21時
