そらちぃ ページ5
私は、報われないような恋愛話が好きだ。
例えば、好きな人には彼女がいて、最終的には好きな人と付き合えるっていうような話。変人?よく言われる。
『はぁ……』
でもまさか、私がそれ側になるとはね。
「なーにため息吐いてんの」
『これはこれは大木空くん。宿題なら見せないよ?』
けちー、とかいって頬を膨らませるそら。見た目は悪くない。モテる。しかし、こいつが私の好きな人ではない。決して。いい男友達だ。
「えいちゃんのこと?」
『は、違うし』
「またまたぁ」
そう言うと私の机の中を漁り、宿題になっていたノートを取り出した。私は諦めた。
「顔に出てるよ」
『う…』
私が好きなのは、そらの親友であるエイジだった。そらの紹介で仲良くなったけど、そのときからエイジは今の彼女が好きだったらしい。
『しょうがないじゃん、私だって好きで悩んでるわけじゃないんだから』
「誰もそんなこと言ってないでしょ(笑)」
そらは私の机で宿題を移している。ああ、見られることを考慮して全問間違えておけばよかったかな。
「あ、Aー」
「ほら、噂をすれば」
『はぁぁぁぁ…』
目立つ赤髪がこちらへ近づいてくる。顔が強ばるのがわかった。
「わぁ、彼女付きだね」
『うるさいそら』
廊下にはエイジの彼女。二人して鞄を持ってるから、登校してすぐなのだろう。
「ねえ助けてA。教科書かして」
『何のよ』
「現国」
『3時間目だから終わったら返してね』
「まじ?ありがと〜」
エイジは私から教科書を受け取ると、手を振って教室から出ていった。
「ブス(笑)」
『知ってる』
「違うよ。えいちゃんの彼女」
『はあ?』
「見てあれ」
廊下を見ると、エイジの彼女がキッとこちらを睨んでいた。 エイジに呼ばれてすぐ笑顔になったけどね。
「怖いねえ」
『笑い事じゃないわ』
「はは(笑)あ、はいこれ。ありがと」
置いといて、と言って私は机に突っ伏した。席が前のそらは私の頭をがしがしと撫でていた。
『ちょっと、ちょっと』
「元気出しなよ」
『…』
チャイムが鳴っている。
それと同時にそらは前を向いたけど、
一瞬にして笑顔はなくなっていた。
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あやもち(新アカウント)(プロフ) - リンさん» ちょっと違う気がしますがありがとうございました! (2018年1月20日 22時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
リン - ありがとうございました。面白かったです。 (2018年1月20日 22時) (レス) id: da57983ead (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - ありがとうございます!! (2018年1月20日 21時) (レス) id: 3b3f15d52b (このIDを非表示/違反報告)
あやもち(新アカウント)(プロフ) - 未来さん» 了解です! (2018年1月20日 21時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - りょうくんとイチャイチャするシチュエーションってお願いできますか?? (2018年1月20日 21時) (レス) id: 3b3f15d52b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやもち(新アカウント) | 作者ホームページ:https://twitter.com/avntis_TO_mizu
作成日時:2017年11月17日 14時