自由の空に【進撃の巨人】 (ページ9)

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episode8 ページ9

あれから数年。

キース「只今より、第104期訓練兵団入団式を始める···！」

私は訓練兵として入団し今ここにいる。
右手の拳を心臓にあて教官が回るのを待っている。

…右に心臓のある奴がいたり、芋を食う女がいたり、憲兵団にーなんて言っている奴もいた。

巨人を一匹残らず駆逐する、なんて威勢のいいのもいたな。

キース「おいお前、名はなんという…！」
A「はっ…！トロスト区出身、A・パラメントです！」
キース「よし、パラメント、お前は何をしにここへ来た」
A「…、自分を鍛え上げ、人類の勝利にこの身を捧げる為であります！」
キース「ほう、よし、いいだろう」

我ながら無難な答えをいえたもんだ…。

其から入団式を終え食堂へ向かう途中…、否、此処はどこ…。
何が起きたのか、集団行動が苦手すぎるのか、同期とはぐれた私は道に迷い食堂にさえたどり着けない。
そう、この世の苦手項目があるとしたら、方向感覚である。
地下街でよく暮らして来たもんだ。
慣れない場所はどんな簡単な構造でも迷う。

誰かに聞けばいいものの、よく考えたら私は、同世代の子と話したことがない。
どうやって話せばいいのかさえ分からない。

…さあ、どうするA。

悩んでうろうろしていると、突如後ろから声がかけられた。

?「…君、さっき入団式に居たよね?どうしたの?…あっ、否、違ったらいいんだ! 僕はその、少し教官に質問があって皆に出遅れたから、今から食堂に向かうところなんだけど…。
…あれ?君、食堂には行かないの…?」

A「あっ、いや…その、私方向感覚がなくて、何故か出遅れてしまって…。その、食堂にたどり着かないの。」

馬鹿にされるよな、こんなの…。

?「嗚呼なんだそういうことか…! 其なら一緒に行こう? あっ、自己紹介がまだだったね! 僕はアルミン・アルレルト、よろしく!」

A「あっ、えっと私はA・パラメント。その、よろしく、アルミン。」

ｱﾙﾐﾝ「うん、よろしくね！それじゃあ行こうか！」

アルミンについていくとなんとも近い距離に食堂は在り、何故たどり着かなかったのか…。

ｱﾙﾐﾝ「此処が食堂だねっ! 僕は幼馴染の2人と食べるから向こうへ行くけど、また道に迷いそうだったら何時でも言ってね、僕がわかる範囲なら教えられるから!」

‘それじゃあっ’ と手を振って背を向けた彼。

…、

A「あっ…、アルミン！ …ありがとうっ」

そういうとにっこりと笑って返してくれた。