三体目の龍【Paradox Live】

OPENING SHOW　「悪漢奴等」 ページ9

彼女の自宅の一番奥の部屋









そこが彼女の仕事場であり自室だった









カチッ









電気をつけた彼女の部屋には、一羽の鳥がいる









その鳥は彼女を見るとパソコンをコツコツと爪で叩く









『おや、何か依頼かい？
　いつも教えてくれてありがとうね、ハヤテ』









“ハヤテ”と呼ばれたその鳥はハヤブサである









彼女に害あるものを攻撃し、また情報収集の要でもある









彼女の愛鳥である









『どこの誰からの依頼かな？
　あまり急ぎだと困るんだが…………』









Aはため息とともにパソコンを起動しメールを開く









《これ読んだらいつでもええから電話してな〜》









『はは、若様か
　ーーーーーまぁ大方、依頼の予想はつくがね』









プルルルル









依織【お〜、達者にしとったか〜？】









Aの電話に上機嫌で応えたのは、翠石 依織









『深夜にすまないね若様
　“急いだほうがいい”と思ったものだから』









依織【なんや、察しはついとったんか〜

　 で、引き受けてくれるか】









『いいよ
　アルタートリガー社の調査、引き受けようじゃないか』









依織【すまんな〜
　 こっちで調べるより手っ取り早いさかい、頼むわ〜】









『調子のいい若様だこと
　ーーーーーーでも丁度良かった、今度敵地に飛び込む予定が【は？】

　え、何だい怖いな』









電話の向こうの温度が急に下がった









依織【…俺の耳が悪くなったわけやないな
　 《敵地に飛び込む》ちゅうんは、よくわかるように教えてもらおか】









依織の言葉にAは少し後悔する









『(言わなければ良かったーーーーー)』









依織【しっかり説明してな、A】









『…………私にも招待状が届いたのさ
　CLUB paradoxからのね』









依織【！！】









『だから招待を受けて、敵地に飛び込もうと考えたわけさ

　ーーーーーかつてのホームが、今や敵地になるなんて笑えないけれどね』









Aの乾いた笑いには、寂しさと悲しみが浮かんでいた









依織【ーーーーーーーーー】

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