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沖田side
_____親殺し。
むかし無くなった夜兎の風習アル。親越えてなんぼってナ。
この風習と同族同士の結婚、あとは外からの攻撃で私たちは絶滅寸前ってパピーが言ってたアル。
Aはユイショ正しいお嬢サマ。私よりもずっと夜兎の血が濃いし、おうちは昔の風習を大事にしてたみたいネ。
だから、14歳の誕生日、Aは家族を殺したアル。______
胡散臭い訛りが、俺の脳みそにしつこくこびりついていた。
自室でごろりと寝返りをうてば、畳の香りが鼻をくすぐる。
「だからか分かんないけど、家族がトラウマみたいネ」とクソチャイナは続けた。分かんないけどって何だ。そこは分かっとけよと意味もなくクレームを入れる。
癪だが、俺はチャイナの言う通りアイツのことを表面上しか知らなかったみてェだ。考えてみれば、直接話したのはたったの2回。
そりゃ過去なんざ知らねーわなと自嘲する。
あのあとは特になにもなくお開きになって、数日経った今でも進展は1ミリもない。俺もヤツの調査をぱったりやめてしまった。
朝には土方に奇襲を仕掛け、始末書をザキに押し付けて部屋でごろごろと怠ける。
嫌になるくらいいつも通りである。
ちらりと時計を見れば、短い針は2を指していた。サボってるのが土方に見つかる前に、団子屋に見廻りにでも行くとするか。
そう思い立ち、なんとなくいつもより重い腰をあげた。
*
「よーう、総一郎くん」
「チェンジで」
反射で出た言葉に「ここソウイウ店じゃないんで」と返され、ずるずると旦那の隣に座らされた。
何が楽しくて薄汚ェ白髪を見なきゃなんねーんだ。
ケッと吐き捨ててから茶を出しに来た顔見知りの店主に「ごま頼まァ」と注文をする。
隣から送られる嫌な視線を避けるように斜めに座り直した。
「最近うちの子に付き纏ってないみたいじゃないの」
「付き纏うたァ心外ですねィ。俺ァ事前調査してただけですぜ」
「うんだからそれ付き纏ってたってことだよね?ストーカーだよね?」
はて、何のことやら。
出されたゴマの団子をかじりながら旦那の言葉をスルーすれば、ガシガシと頭を掻く音が聞こえた。そのうちハゲやすぜとは言わないでおいてやろう。
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木菟(プロフ) - はっぱさん» はっぱ様ご愛読ありがとうございました!続きの方は続編で更新しておりますのでお時間ありましたらご覧いただけると幸いです! (2021年9月16日 11時) (レス) id: ce9f753194 (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いですw更新大変だと思いますが、頑張ってください!応援してます!! (2021年9月14日 21時) (レス) id: c56a6257a1 (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - Runaさん» コメントありがとうございます!いえいえ、勿体ないお言葉です…拙い文章ですがご愛読いただけると幸いでございます!がんばります! (2021年8月23日 20時) (レス) id: ce9f753194 (このIDを非表示/違反報告)
Runa(プロフ) - なんですかこの神展開、、ありがとうございます応援してます!!更新がんばってくださいッ! (2021年8月21日 15時) (レス) id: f22b766baa (このIDを非表示/違反報告)
木菟(プロフ) - 雫さん» コメントありがとうございます!芋侍感や認識のすれ違い感を全面に押し出していきたいと考えております。ご期待に添えるよう頑張ります! (2021年8月18日 13時) (レス) id: ce9f753194 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木菟 | 作成日時:2021年8月11日 11時