どっちが狼なんだか…(笑) (ページ10)

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２話④ ページ10

豆
「……れとも……」

佐野「“哀(あわ)れ”」

豆
「哀れとも田心(たごころ)ほえて」

佐野
「“思(おも)”な」

豆
「身のいたづらに
あれはジョンですか？いいえ飛行機です」

佐野
「えっドコ読んでんの
お前……」

２人の掛け合いに
声を殺して笑うAに(一部を除いて)
気付くことなく授業が続けられる。

晴明
「だ……大丈夫だよ
狸塚くん、よく読めてるよ!!
で、この訳は……馬鹿な!!!」

突然、晴明の姿が消え
A達が確認すると泥沼の中で
もがいていた。

晴明
「ひ……ひどいよ泥田くん……」

這い出て来た晴明は全身泥まみれかつ不気味で
泥田坊の泥たんより泥田坊らしかった。

晴明
「僕が何したっていうんだ!!
恨むなら義兄を恨んでよ
僕は無関係だよ!!!」

泥たん
「俺たちは妖怪だ!!
人間(おまえ)化かして何が悪い!!
嫌なら人間の学校帰れよ!!!」

晴明
「……脱線してごめん……授業続けるね
この歌はね……
“好きな人に振り向いて貰えない
悲しさから生まれた”って言われてるけど……
そんなことで何一々ネガってんだって
正直思っちゃうよね

僕なんて……ッ
哀れんでくれる人はおろか
生まれてこの方
友達すらできたことないってのに!!!
人間社会にも馴染めない
惨めな人間だったのに

３日に１回はチンピラに絡まれ
時には小学生に泣かされ
プライドはないのかとか
よく聞かれるけど
プライドはあるよ!!!ないのは度胸だよ!!!

そんな僕でもやっと教師になれたよ
でもやっと教師になったと思ったら
このザマだよ!!!
初日から変態扱いだよ!!!
まさか人生生きてて妖怪から変態って
言われると思ってなかったよ
それでもギリギリ生きてるよ!!!

だからもっと僕に優しく……
…………という訳です……」

晴明の剣幕にクラス中ドン引き。
ようやく気付いた晴明は我に返り
無理矢理誤魔化した。

生徒
「「(そんな馬鹿な)」」

晴明
「こ……国語って
ただ文を読んで理解するだけじゃなく
そこから何を学んで今後に生かすかが
大事だと思います
皆もこれらの歌から学びとって
もっと他人に優しくしてあげてくださいね
い……以上です」

いい感じにまとめたところで
授業終了のチャイムが鳴った。