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「はぁ、はぁ、」

かなり走った。十二歳の少女には限界が来ていた。笑みは剥がれ、感情が剥き出しになる。
 
「……どう、して……」

木の影に座り込む。雑草がちくちくする。

死にたい。死にたい。でも、厄介な異能のせいで、死ねないんだ。こんな異能力、要らない。

彼の異能力は、盗んだ資料を見て知った。

異能力の無効化。 それを利用して、私は死ねる。襲撃現場(あそこ)に行けば、あたしは、死ねるんだ。

その希望に賭けて、あたしは、わざわざ敵の前に出たのに。

「……何、で……」

生まれて12年にして、人生に絶望した。

捕虜何て、拷 問やら何やらをされて用済みになればなぶり殺しだ。

しかし、あそこなら、精々銃か素手位だと思い、死ににいったのに。

風の音すらうるさく感じる。


――そのとき、自分の腕に大きい手が重なった。

「見つけた、栗夢Aちゃん。」

しまった。回りが見えていなかった。

「やめて。今すぐあたしを殺してよ……ねえ、太宰治さん。」

笑顔を作り直すことなく言う。

彼女の願いは聞き届けられることなく、意識は闇に消えた。




――――ポートマフィア、地下牢にて。

「……ん。」

少女は目を開き、回りを確認した。両手首の手枷、血生臭い空間、そこに繋がれ、両手を上げさせられた状態で座り込む自分。

「あれ?あたしは……」

記憶が混乱している少女に、足音が迫った。

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作者名:愛子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php   
作成日時:2018年3月22日 9時

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