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織田作が口を開く。

「太宰、お前はさっきこの銃をエンブレムだと言ったよな。

連中が何者かを示す為の。

それならこれはどう云うことだ?」

織田作の云うことは最もな事だ。Aも思考するが、集中力が切れた。

風の音、服がこすれる音、飛行機の音、鳥が羽ばたく音……

すべてがうるさく、思考の邪魔をする。

「まだ何とも云えない。」

ミミックという欧州の犯罪組織。

そのエンブレムの旧式拳銃。

安吾の部屋を狙った狙撃。

バーでの話の違和感と、太宰の行動。





そして――坂口安吾



太宰が気付いた事を話すというので、一旦思考を停止し、太宰の話を聞く。

「安吾は昨日、出張の帰りだと言っていただろう?」

しかし、頭はガンガン鳴る。思考など停止するまでもなく、自然に止まる。

「安吾の……に……た……だ。……あ……は、……る……と言って……」

会話が頭に入らない。

今、笑顔が保てているだろうか。

そろそろ本格的にヤバイので、帰らせてもらおうかと思ったが、今帰るといけないと、脳が忠告している気がした。




――――――気が付くと、襲撃者が立ち上がって太宰に銃を向けていた。

「……ありゃ」

少女はひきつった笑みを浮かべたまま呟き、壁に寄りかかる。

襲撃者はふらついており、銃を持つ手もガタガタと震えていた。

太宰は、そんな襲撃者に穏やかな口調で語りかける。

殺せだとか、酸化した世界だとか、銃声とか、色々聞こえたがそれどころではないA。

ずるずると座り込み、笑顔が剥がれる。

そんな少女を見て、驚く一同。

特に、織田作とその他構成員たちは、Aの笑顔しか見たことが無いので、かなり驚いている。

ひやり。

額に誰かの手が重なる。もう目が開かないほど悪化していたが、包帯だらけだったことから、太宰だと認識した。

次に目が覚めたのは自室で、−−日後の事だった。

5章 過ぎ行く嵐→←・



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作者名:愛子 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php   
作成日時:2018年3月22日 9時

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