【銀魂】二酸化炭素と君の愛 (ページ6)

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久しぶりの兄妹ページ6

「兄上」

「……は？」

唐突に呼ばれた自分の名前に、彼は心底びっくりしたような様子だった。
いるはずがない、どうしてここに、というような戸惑いと、探るような瞳。同時に、居場所を奪われるのではと危惧しているのか……少しの、不安。
随分子供っぽい顔をするのだな、なんて思ってしまった。

「お前、なんでここに」

「兄上にお弁当持ってきたの」

「いらねぇよ、帰れ」

随分と冷たい。どうしてそんなに嫌われてしまっているのだろう？
とくに何かした記憶はない。ただ唐突に、なんだか溝ができてしまって…離された距離に、生まれ変わってきたばかりの私は強いショックを受けた……ような気がする。

「…兄上」

「帰れっつってんだろ」

「でも、…兄上、最近家にも帰ってきてない」

「それがお前に何か関係あんのか？」

「高杉！そんな言い方はないだろう」

言い合う…というか一方的に言われている私の肩を持って、桂が味方についてくれた。ありがとう、その優しさ少し高杉に分けてやってくれ。
高杉からすると、父親の言いなりになっている私は心のない操り人形のようにでも見えているのだろう。
まぁ確かに、私はここに生まれてきてから父親の命令に逆らったことはない。無意味に逆らっていいことはないと分かっていたからだ。

「お腹空いてるでしょ？兄上」

「関係ねェっつってんだろ。消えろ」

「兄上、」

「どうせあのクソ親父にでも頼まれたんだろ？フッ、帰らねェと言ってんのにアイツは…」

「兄上！！」

父親の悪口も、格好付けも、どうだってよかった。
産んでくれた人に、とか、親に、とかそんな道徳的なことは頭の片隅にすらなかった。
けど、黙って聞いているわけにもいかなかった。

「……なんだよ」

「私も、父上はあんまりすきじゃない、けど…」

「…けど？」

「やめたほうが、いいと思う」

じり、と後ろで後ずさりする音が聞こえる。私が父親のことをあまりよく思っていないことが意外だったのか、高杉はまだ気づいていない。

「後ろの男の人、こわい笑顔で怒ってるもん」

「は？ …っうわァ！？」

ゴッ、というシャレにならないような音と共に高杉が地面にめり込んだ。ひぇっ。

「松陽…先生……」

高杉の呻きにも近いその声に、その人は笑みを深めた。