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容姿の利用と家族愛 ページ3

けれど私は最近、高杉とコンタクトを取ってみようかと考えている。
 なぜかというと、高杉は最近本来父上が通わせている塾ではないべつの塾へ行っているという噂が立っていたからだ。そこも、彼が悪ガキと言われる所以。

 ......絶対に松下村塾であると、私は確信していた。原作の流れ的にもそうであろうし、何より最近外で楽しそうにはしゃぐ高杉の声を聞くこともあったから。
 会ってみたかった。高杉が心の底から尊敬しているという吉田松陽という人物に。銀魂の主人公に。阿呆なロン毛に。これは読者としての、単なる好奇心だった。
 だってせっかく、転生したんだもの。


「お台所、貸してください!」

「え?」


 夕飯の仕込みでもしていたのだろうか、女中の人が驚いたように振り返った。
 こういうとき、子供の無邪気さは武器になる。


「兄上、きっとお勉強で疲れていると思うの! だからね、お弁当つくってあげるの!」

「まあお嬢様。お優しく育たれて...分かりました。...でもお嬢様、お怪我をすると危ないですから、お弁当は私が作りますわ」

「はぁーい」


 ぴょんこぴょんこと跳ねて女中を和ませることにはこの数年で慣れた。こうすれば、美味しいお弁当を作ってくれるはずだ。高杉の分だけじゃないくらい、たくさん。
 この女中は優しいから、私の分も含めて作るだろう。...計算高い? 人の性格をよく知ってる、といってほしい。
 ちなみにこのことは父上には内緒だ。時折殴られているような彼にお弁当を、なんてバレたら私だって殴る...とまではいかずとも、怒られてしまいそうだし。
 誤解をうけないよう言うが、別に私は父上の味方でないけれど高杉の味方でもない。


 しばらくすると、卵焼きの甘ったるい香りと、魚を焼く香ばしい香りが漂ってくる。
 すん、と息を吸うと肺いっぱいにその香りが入ってきて、安心するような、そわそわするような。


「もうすぐできますからね」

「うん!」


 前世じゃお母さんがご飯を作ってくれたけど、この世界じゃ母親は料理なんかしない。
 掃除も洗濯も料理も、すべてここに勤める女中さんたちの仕事で、だから母親の家事から感じる家族愛なんてのはこの世界じゃ微塵もなくて、どこか冷たいような、目の前に立つと背筋がしゃんとする家の母上からする謎の緊張感は、どこか親というより会社のお局様という感じ。

 この家に、家族愛を感じるところはあまりない。

ポニーテールとお弁当→←望んでいないニューゲーム



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ライム - おもしろいです!更新楽しみに待ってます!! (2019年9月1日 21時) (レス) id: ee1104400e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:総悟13(低浮上) | 作成日時:2019年8月8日 21時

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