第九話…薫風卯月 ページ12
千音は目を覚まし、別れた時に“明日一緒に行こう”と星に言われた。
勿論、待ち合わせ場所はあの角だった。
それなりに親しくなった二人は、他人から見たら、まるで付き合っているかのように過ごしていた。
「………待ったか?」
「いや!全然!」
先に着いていた、星に千音は申し訳なさそうに、眉を下げ、星の顔を見た。
星は両手を振り、待ってないと言った。
二人は肩を並べて歩いた。
たわいもない話しをして居れば、直ぐに学園に着いた。
同じクラスで隣の席の二人は、席に着くまで沢山話をしていた。
二人のことは学園中で騒ぎになっていた。
もしかして、付き合っているのか?などと、いつもその話で持ち切りだった。
「…またその話か……星と私は何にもないって、言ってるだろ?」
千音はクラスの女子達に、星との関係を何度も聞かれた。
応えないという訳にはいかなかったので、何も無いと伝えた。
本当に何も無いからだ。
千音は変な噂を立てられるのは嫌だった。
千音はすんなりとこのクラスに馴染めていた。
まるで、前から居たかの様に。
「疲れる……本当に何も無いのにァ、しー」
「え?あ、うん。そうだよねー!」
まさか、自分に話を振られるとは思っていなかったのか、星は物凄く驚いていた。
千音と星はこの学園のプリンスとプリンセスと呼ばれていた。
二人はそんなつもりは無いのだろうが、どんな事をしていてもかっこよく更には可愛いという事で、付けられているのだった。
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