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其の十…蒼空緋欄 ページ12
真杞side
『…綺麗だな』
私は、一人裏庭から月を見ていた。
というのも、何だか寝つけないからだ。いつもならすぐ眠りに入れるのに。
夏の夜だというのに、涼しい風がふいていた。木の葉が
ひらり、と舞っていく様子がみられた。
「お、真杞ですかィ?めずらし」
『沖田隊長…』
静かに私のとなりに座る沖田隊長。
髪が濡れていて、髪の毛から雫が滴っていた。風呂に入ってたんだろう。
『風邪引きますよ』
「すぐ乾くから大丈夫でさァ」
沖田隊長の髪は綺麗だ。
栗色のサラサラした髪は揺れて、月に照らされて輝いていた。
『…沖田隊長』
『…私って、沖田隊長を支えられていますか』
「大丈夫でさァ。てめぇは、人一倍頑張ってやす」
沖田隊長らしくない言葉。
べた褒めされてしまって、本当私はバカだなって思った。
『ありがとうございます』
月のせいで、まぶしくって沖田隊長を直視できなかった。
…いつか、遠くに…私の手が届かないところまで遠くに行ってしまう、
そんなような気がしてたまらなかった。
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作者名：おバカな傀夢&蒼空緋欄 x他1人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2018年8月7日 11時
