冬空の星3★ 【イナズマイレブン】 (ページ44)

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筆休め③「家庭教師？」【番外編】ページ44

「あー！無理！わかんない！」

来週に期末テストを控えてるんだけど…
公式の使い方とか、文法とかなにもわからない。
理科の公式はわかるのに、なんで数学はわからなくなるんだろう…

「A～？ヒロトくんが来てくれたわよ～？」

「はーい…ってえぇ！？」

驚きのあまり階段をかけ降りる。
女の子らしくないわよってお母さんに叱られちゃった。

「やぁAちゃん。お伺いもしないで来ちゃってごめんね。テスト勉強はかどってるかなぁと思って」

「いえ…全然」

「A、せっかくだからヒロトくんに教わったらどうかしら」

「え！でもヒロトくん忙しいかもしれないし」

「オレは全然大丈夫ですよ」

「じゃあ、Aをよろしくね」

「わかりました。お邪魔します」

待って待って。
わたしを置き去りにして話が勝手に進んでるし。

そんなわけで、今は向かい合って勉強してます。
ヒロトくんはわたしがワークを解いてるところを見てる。
ヒロトくんがそばにいるとドキドキして頭が働かない。

「どうしたの？手が動いてないよ？」

「考え中なの」

嘘です。実はちっともわかりません。

「そっか。わからなかったら聞いてね」

そういってヒロトくんは自分のを勉強を始める。
すらすら解いていくなぁ…ってワーク2週目か！
部活も毎日あったのに、優等生は違うなぁ。
わたしまだ1週目も終わってないのに。

「…どうしたの？」

「…えっ？」

その声ではっと我に返り、慌ててワークに目を戻す。

「…ううん、なんでもない」

「そこからずっと進んでないけど、教えてあげようか」

そういって立ち上がると、わたしのすぐ隣に来て座った。
待って待って近い…

「だからここはこうやって…」

横顔も素敵だなぁ…

「…Aちゃん、怒ってもいい？」

「えっ…その…」

ヒロトくんが声のトーンを落として言う。
こんなに丁寧に教えてくれてるのに、家まで来てくれてると言うのに、わたしってば全部聞いてなかった。

「Aちゃんが点数とれなくても、オレにはなんの影響もないんだよ？」

「うん…」

「でもね、オレはAちゃんに頑張ってほしいからここに来てるんだ、わかってくれる…？」

ヒロトくんが悲しそうに言った。
なぜかありがた迷惑とは思わなかった。

「…ごめんねヒロトくん」

「ううん…オレも勝手に来たのにこんなこと言ってごめん」

「いいの… わたし、頑張るから説明の続きおねがい」

その日から少し真面目に勉強するようになった。