冬空の星3★ 【イナズマイレブン】 (ページ31)

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Episode.64【★★】ページ31

後半開始とともに、不動くんはどんどん相手側に攻めていって、
ボールを奪い取りに行っていた。
選抜のときはよく見ていなくてわからなかったけど、選ばれてるんだもんね。
身のこなしも流石としか言えない。

あっ！囲まれたのを回避するために壁山くんにボールぶつけて…
やり方はひどいけど、かわせてる…
そのあとも風丸くんにわざとぶつけたり、それでいてパスをしてくれなかったり、やりたい放題のプレーだった。
壁山くんも風丸くんも不満オーラが目に見えるくらいに。
ヒロトくんが仲介をしてるみたいだけど、ほぼ無意味みたい…

「響木監督！」

円堂くんのその声で振り向くと、そこにはフットボールフロンティアの時の雷門イレブンの監督、響木正剛さんが立っていた。
決勝を見に来てくれたんだ。

「不動は、力を手に入れることが自分自身を守ることだとして生きてきたんだ」

そう言って、不動くんの過去について話してくれた。
家庭環境は良いものと言えず、母親に強くなるよう言われて育ってきた彼は、悪い友達と付き合ったりして生きてきたらしい。
しかし、幼い頃の記憶のせいか誰のことも信頼できていないらしい。
響木監督は、彼の素質を見抜いてスカウトしたらしい。
確かに、実力だけはあると思う。

フィールドを見直すと、不動くんは相変わらず自由にプレーをしていた。
円堂くんは、久遠監督にチームを見ろって言われている。

「パーフェクトゾーンプレス！」

不動くんと風丸くんが渦に巻き込まれた。
さっき突破口は見つけたというのに、不動くんが自分だけで攻略しようとして失敗していた。
そして涼野にボールを取られ、風丸くんがボールを奪い返しにいったけれど、そのボールは外に出てしまった。
みんなの気持ちがバラバラだよ…

次に不動くんがボールを持ったときは、風丸くんにパスをしていた。
パス…！？しかしそのボールは風丸くんの少し前を通りすぎていってしまった。
不動くんも風丸くんも舌打ちをしたような顔をしている。
その後も壁山くんや、ヒロトくんもパスをうまく受けとることができなかった。

「いつもなら、とれていたパスだ」

鬼道くんがそう言った。どういうこと？
話を聞けば、不動くんのあのパスは、敵も味方も性質がわかった上でのパスだったらしい。
お互いに信頼しあっていればとれるパスだった。
しかしこれからの短い時間で信頼関係を築けなんて不可能に等しい。

決勝戦なのに、大丈夫なのかなぁ…