冬空の星3★ 【イナズマイレブン】 (ページ26)

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Episode.59【★★】ページ26

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Aちゃんが急にオレの部屋に訪ねてきた。
何事かと思えば、吹雪くんのこと、諦めようかなって。

「Aちゃんは、それでいいの？」

正直オレは、嬉しいとは思えてなかった。
悲しそうに言葉を紡ぐAちゃんをみていたら、そんなこと思えなかった。
Aちゃんも、「ほんとはよくないよ」って。
なんて返したらいいかわからなくて、「そっか」としか言えなかった。
もっと気の利いた言葉をかけてあげたかった。

「ヒロトくん、応援してくれてたのにごめんね」

そんな顔しないで。
オレはAちゃんに、そんな顔をさせたくはなかった。
「でもそれと同時に…」ってAちゃんが何か言いかけたけど、結局話してはくれなかった。
やっぱりなんでもないと言うように、Aちゃんは部屋に戻っていった。

＊＊＊★

翌日の練習は、いまいち身が入らない。
なんかAちゃんのことを見ちゃってる。
目があっちゃったりして、なんだか気まずい。
こんな関係にはなりたくなかったんだけどな。

午後練習が始まる頃に、Aちゃんはいなかった。

「あれ？Aちゃんは？」

「A先輩なら、調子が優れないらしく、部屋で寝てるみたいですよ」

「そっか…わかった」

オレは練習の準備を投げ出して走っていた。
Aちゃんの部屋の扉を少し開けて聞く。

「Aちゃん、大丈夫？」

「大丈夫じゃないけど、大丈夫」

Aちゃんたら、すぐそういうこと言うんだから。
でも、素直になったね。
少し昔のAちゃんなら、大丈夫としか言わなかっただろうに。

もう少しそばにいたいけど、練習にもいかなきゃ…
Aちゃんなら、一人にしても大丈夫だよね。

「…Aちゃんが大丈夫ならよかった。じゃあ、練習いくね」

「うん…」って答えるAちゃんを背に、部屋を出ていこうとして、立ち上がったとき、シャツの裾を引かれた。
そしてAちゃんはこう言った。

「…ごめん寝るまで傍にいてくれないかな」

「えっ…」って小声が漏れるほどびっくりした。
だってAちゃんは、こんなこと言うような子だとは思ってなかったから。
でも、正直少し嬉しかった。
なんだか、心を開いてくれたような気がして。
オレは椅子に座り直す。
それをみたAちゃんは、安心してくれたかのように目を閉じた。

しばらくして、Aちゃんが小さな寝息をたてはじめた。
そんなAちゃんの頭を一撫でしてから、オレは練習に向かった。