冬空の星3★ 【イナズマイレブン】 (ページ25)

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Episode.58【★★】ページ25

「うん…Aちゃんがいいなら」

「…ありがとじゃあ、部屋戻るね」

言えないよ。
気になり出してるなんて。
ヒロトくんのことのほうが好きかもなんて。

出会い方が違えば、今ごろ付き合えてたのかな。

＊＊＊

翌日の練習は、ぼんやりヒロトくんの方をみてた。
やっぱり、ヒロトくんのこと意識しちゃってる。
なんか、心のなかにいた吹雪くんが少しずつ消えていくみたい。

「ヒロトくん…」

不意に名前を呼んでしまう。
当然届くはずのない声。
だけどなぜかヒロトくんがこっちに目線をくれる。
なんかびっくりしちゃって、わちゃわちゃして、冷静を保とうと必死になる。

「なんで…？まるで聞こえてるみたい」

＊＊＊

午前の練習が終わって、お昼を食べて休憩時間。
もう少ししたら午後練が始まる。
時間まで、横になることにした。
そして、無意識のうちにヒロトくんとの思い出が思い出される。

初めて会ったのは、この学校に来た初日。
理事長室まで手を引いて案内してくれたっけ。
名前聞きそびれちゃったけど、クラスがいっしょで。
優しい人だって思った。

流星群も、一緒に見たなぁ。
その日の帰りに家まで送ってくれて。
夜は送り迎えもしてくれて。
帰りはほとんど寝ちゃってて意識無かったけど。
レジャーシートも用意してくれてて。
あのとき見た流星は、本当に綺麗だったなぁ。

吹雪くんにフラレちゃったときも、外に連れ出してくれたなぁ。
わたしが星をすきなのわかってて、何を話すわけでもなくそばにいてくれた。
そして、誕生日プレゼントをくれた。
今も手元にある。本当にわたし好みのストラップ。
そこで、ヒロトくんの気持ちを知った。

「A先輩？練習の時間ですよ？」

春奈ちゃんが呼びに来てくれたけど、練習の気分じゃなかった。

「ごめんね…なんか調子よくないから、午後はお休みしていいかな」

「夏バテですかね…暑いですし、無理しないでくださいね！じゃあ、みなさんに伝えておきます！」

「ありがとう、春奈ちゃん」

＊＊＊

「Aちゃん、大丈夫？」

すぐにヒロトくんが来てくれた。

「大丈夫じゃないけど、大丈夫」

「…Aちゃんが大丈夫ならよかった。じゃあ、練習いくね」

ヒロトくんが行ってしまいそうなとき。
なぜかわからないけど、呼び止めていた。

「…ごめん寝るまで傍にいてくれないかな」

ヒロトくんはびっくりしてたみたいだけど、本当にそばにいてくれた。
わたしは安心して、目を閉じた。