“非”日常 葵side ページ10
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今日も変わらず、リアンで働く。
それがもう日課になり、僕の生活スタイルになってきている。
まあ?まんざら嫌ってわけでもないけど?
で、でもただおじさんだけだとこのお店が大変なことになっちゃいそうで怖いから手伝っているだけだけどね!
いつもは寂しげな店内も、この時間帯になるの少しにぎやかになる。
今日も例外ではなく、お客さんが多かった。
「…と、オムライスを2つお願いします。」
「はい!少々お待ちください。」
注文を受けササッと厨房へ戻る。
あ、食器がまだ洗えていない。これも片付けとかなくちゃ。
チリンチリン…。
また店の扉の鈴がなる。
お客さんの来店は嬉しいものだけど、忙しい時はついため息がでてしまう。
「おっと、お客さんか。…ん?見ない顔だね?お兄さんウチくるの初めて?」
食器棚から一枚大皿を出していると、そんなおじさんの声が聞こえた。お客さんとお話してる暇があるんだったら、食器洗ってくれればいいのに!そう思い、おじさんに言葉を投げかける。
「ちょっとおじさん!片付けするの手伝ってよ!」
おじさんの方を少し睨みつけてそういった。
「あ…。」
その次に視界に入ったのは、おじさんの後ろで眩しそうに目を細める男の人。
黒い帽子からはみ出した薄墨色の髪の毛は艷やかで、処々の黄緑色の紙の束が細められた琥珀色の瞳に思わず目を奪われた。
が、支えていた指先から力が抜け、大皿を割ってしまいそうになったことにより現実に引き戻される。
「あ、はい。初めてです…。何だか知らない美味しそうな香りがしたもので。」
薄墨の男の人はゆっくりとそう言った。
「…!あ、やっぱり〜?いや〜、お兄さんみたいな美人だったら覚えてるはずと思って〜!」
おじさんの表情は後ろを向いているせいでうかがうことじゃできないが、頭をかいているあたり同様しているのだろう。
「そう、ですか。」
全く声のトーンを変えず、言い放ったその言葉には少なからず不信感のようなものを感じた。
「あ、えっと…お席はあちらで宜しいですか?」
おじさんが座席へ案内する。
店で流している音楽が少し小さく聞こえた。
「はい。大丈夫です。」
心がある、ハキハキとしたその物言いからは威厳のようなものを感じた。
コツコツ…
薄墨の男の人が僕の眼の前を横切る。
「…。」
「っ!!」
いつの間にか彼の姿を追い続けていた僕の瞳と彼の輝く琥珀の瞳が、一瞬だけ。
カチリと合ってしまった。
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妖氷 - 面白いです!これからも頑張ってくださいね? (2019年12月3日 18時) (レス) id: b589f6a6a6 (このIDを非表示/違反報告)
ふてんにぶおんぷ(プロフ) - りんさん» 返信が遅くなってしまって申し訳ありませんでした。あや恋を深めたいと思ったので書きました!面白いと思っていただけて嬉しい限りです。嗚呼、執筆していてよかったー!応援有難うございます!更新する時間を努力して確保しようと思います!よろしくお願いします。 (2018年12月9日 2時) (レス) id: 6a49c456d5 (このIDを非表示/違反報告)
ふてんにぶおんぷ(プロフ) - あまの雪さん» 返信が遅くなってしまいすみません。あや恋小説にチャレンジしよう!と思ったが吉日で書いたのでどうかなとドキドキしていたので、そう言ってもらえるととても嬉しいです!更新楽しみにしていてください! (2018年12月9日 1時) (レス) id: 6a49c456d5 (このIDを非表示/違反報告)
りん - あや恋の小説家はじめて見つけられてワクワクしながら読んだらとても面白くて夢中で読みました!応援してます! (2018年12月5日 23時) (レス) id: ac0881515d (このIDを非表示/違反報告)
あまの雪 - あや恋の小説今まで無かったので嬉しいです!面白い。低評価する意味がよく分かりませんね〜頑張ってください! (2018年12月2日 19時) (レス) id: 8c1fa0b23e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふてんにぶおんぷ | 作成日時:2018年11月21日 21時