あやかし少年少女物語第十部ー廻る因果篇ー〈イナGo〉 (ページ16)

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第二十二話 5 ページ16

平日の正午を少し回った頃の河川敷

まだ学校も終わっていない時間であり、人通りも殆ど無い
逆に言えば、異端であるボクでも人目を気にする必要がない
そこにある、サッカーコートの真ん中に立つ

フェイ「……よし」

改めて誰もいないことを確認し、高く挙げた右手の指を鳴らす

その指から翠の光が溢れ、それは人の形を作っていく
顔も体型も違う男女が9人、色合いは違えど皆一様に緑の髪と瞳ーーー遊び相手には充分

分身とか式とか大層な術ではない、彼等はボクの妖力が形作った幻影に過ぎない
実体の無い、ボクの想像できる範疇の動きしかしない、他人にも見えるボクの架空の友達
元は妖力の塊なので、ボールを弾く程度の物理的干渉ならできるだろう

持参したサッカーボールを蹴り上げたのを合図に、彼等はボールに迫るように動き出す

それから暫く、彼等とサッカー(と言うよりただのボールの奪い合い蹴り合いみたいな感じだけど)を楽しむ

ーーー気付けば大分時間が経っていた
ふと河川敷の時計を見ると、予定より大分長居してしまっていた
それにーーー向こうから、賑やかな声も近づいて来た

急いで幻影を全て消し、ボールを回収して素早くその場を離れる

ーーー向こうに見えないだろう位置まで行き、振り返る

先ほどまで駆け回っていたコートには、鮮やかな青と黄色のユニフォームが駆け回る

側のベンチに居る面々の中には、あの子の姿

すぐに、とは言えないが、あのサッカー部は人数が増えた
最近になって、ようやく練習も円滑に行えるようになったらしい

遅くまでチームメイトの為にマネージャー業に精を出し、帰ってからボクに楽しそうに部活でのことを報告する結季
サッカー部は間違いなく、彼女の居場所となっていた

その中に、ボクは居ない