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『お見舞い、行ってやってくんない?』
沈黙に耐えかねた俺は何か言わなきゃと、本来の目的であるアイツの話題を切り出した。
だがAは不思議そうな顔をする。
「どうしてですか?…そもそもの入院の理由って私なんですよね?今更会う意味が『でも、玄関で別れる時Aだって気がついてなかったアイツの名前わざわざ呼んだんだろ』…それは」
『アイツずっと後悔してるんだよ。Aに謝りたいって
Aも気がついて欲しかったんだろ?
…だから名前呼んだんだろ』
「…っ」
『図星じゃん』
Aの綺麗な顔が歪んでいく。素直じゃないな
「私、彼に謝られることなんて何もされてません」
『うん』
「むしろ謝るのは私の方だし」
『じゃあ謝りに行きなよ』
「…今更?」
『今更』
「…。まふくんに声を掛けられた時これはチャンスだと思いました。これでやっとお別れが言えるって」
『お別れ?』
「貴方達が今何をしてるか知っています。彼の事を知った時とても安心したんです。たくさん仲間もいて笑い合える友達がたくさん出来て、辛い事も乗り越えてとても幸せそうに楽しそうに生きていると知ってこうも思った。私は彼に、彼と一緒に居た過去に縋っていたんだなって」
だから、彼に伝えて下さい。私は元気でやっているから私の事は気にせずまふくんの人生を生きてくださいって
そう言って彼女は赤黒い痣だらけの腫れてしまった顔でわらった
髪を耳にかけながら。
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作者名:銀我一等星 | 作成日時:2016年8月25日 11時