今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:21,011 hit
小|中|大
過去編.1 ページ36
Aの家に会話なんてものは存在しない。唯一の人の声はテレビ中から聞こえるものだけだった。
Aが物心ついた時からそんな生活は当たり前だったのでそれが普通だと疑いもしなかった。
父親はAが産まれてすぐ離婚しAは父親の声も顔も知らない。母親も父親に関する話題を一切口にしなかった。
母親はAが小学生になる少し前から働くようになり、朝から夜まで帰って来ない人だった。深夜に帰って来てももちろん会話は無いし、朝になったら出て行く。そんな親だった。
それが普通。それが当たり前なんだとAは中学2年生になるまで信じていた。
だけど両親が居ないからといってAは別に悲しくは無かったし、むしろ楽しい方だった。
近所に住む3歳年上のお兄さんが居たからAは明るい性格だったし無邪気でよく笑う可愛い子、と近所では少し有名だった。
中学2年生の夏までは。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
62人がお気に入り
62人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:銀我一等星 | 作成日時:2016年8月25日 11時