【歌い手】一目惚れのこじらせ｡【まふまふ】 (ページ35)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:21,010 hit

002 ページ35

『まふは今倒れて入院してるよ』と伝えると「そうですか。」と気にしているのか気にしていないのか、よくわからない返事が返ってきた。

俺の目の前にいるのは、紛れもなくAだ。

何故今一緒にいるのかって？路地裏で男に絡まれてた女の子を助けたらまさかのAでしたってワケ。

確かにAは大人っぽくなっていて、最初は俺もわからなかった。＿＿でも、まふから話は何度も聞いていたし、そらくんなんて俺のことを呼ぶのはAだけだから。

真っ赤なヒールに黒のロングコート。目線が何度も赤い唇へと注がれる。

『…まだあんな事してるの』

口元に目がいってしまうのを抑えながらそう言うと、Aの顔が一瞬歪んだ。

『せっかく上京したんでしょ、もう辞めなよ』

「上京したら辞める、なんて言いました？」

『いや言ってないけどさ』

「なら、今私がどんな事してても関係ないですよね」

関係あるよ、とは言えず。

沈黙が続いた。

『…俺じゃダメなの』

「え？」

あーあ、何言ってんだ俺。

『俺だったら酷い事なんかしないし、Aが欲しいものたくさんあげれるし

…それに、そんな辛そうな顔もう見てられない。』

俺を見つめるAに、俺の気持ちはもう止められなかった。

目元の痣はメイクで隠しているんだろうけど、その赤黒い痣はあまり隠しきれてない。

＿＿また沈黙。

「私、1人だけから愛情を貰って生きるとか今更そんな器用な事出来ないです。…それとそらくんって私のコト、そういう目で見てるじゃないですか

そういう目で私のコト見る人…ダメなんですよね。

…昔から知ってました。まふくんもそういう目で私を見てたこと、気付いてたけど知らないふりしてました。…私は友達として仲良くして欲しかった。でも無理でした。異性同士は友達になんてなれないんですよ。」

そう淡々と話すAを見て俺は辛くなった。

Aに昔何があったのか知ってる癖に、何も出来なかった自分に嫌気が差す。

＿＿＿きっかけは、たまたま通った道でボロボロのAとすれ違ったのが発端だった。

next→過去編

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

今までの内容をほんの少しですが変えてみました。

時間がある方、ぜひ見返して見てください。

タイトルも変えちゃいました。てへ