【歌い手】一目惚れのこじらせ｡【まふまふ】 (ページ13)

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少しじめじめしてきたある日の朝、

クラスに人が集まってきた頃。

また僕は悩んでいた

〝最近クラスの皆の様子がおかしい〟

Aに話しかける人が増えたのだ。

しかも男子、男子ばかり。ほぼ男子がAに話しかけている

でもAの反応はいたってシンプル

＿＿＿例えば？ほら、今だって…

Aがいる方向に目を向ける。

＿『Aさん！今日の課題終わった？』

「うん」

『ねぇねぇ！Aさん放課後暇？暇なら…』

「忙しいかな」

＿＿全員にこんな感じ…しかも無表情で。

Aは無表情だけど、僕にはわかる。顔にはほぼ出ていないけれどすごく嫌そう。

目がいつもより険しいし、不機嫌オーラがすごい。くっろいもん。

でも僕は、僕なら

Aの肩を叩くと振り向く彼女。

(今日もやっぱり可愛いな)

…そんなことを考えながら

『ねぇA、課題でわからないトコがあって見せて欲しいんだけど…いい？』

「うん、いいよ……｡はい、これ」

『ありがとう！』

教室に人がいるからか、2人きりの時みたいに笑ってはいないけど、なんとなく柔らかい。

「終わったら渡してね」そう言った彼女は本を読み始めた。

やっぱり、ちょっと笑顔だ。

＿＿嬉しいな。

にやつきそうになる顔を無理やり引き締めて、前を向いてちょっと優越感にひたる。

他の男子より僕は上なんだと思うと嬉しくなった。

どうだ、いいだろう。と自慢したくなる。

…僕ってAのこと…好きすぎ、かな…？