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目が覚めたら、そこは病院で、白い天井が見えた。

なんて、小説でよくありそうな展開だ。





「赤司」





気配に気付かないほど馬鹿じゃない。
真太郎がそこにいることは、知っていた。





「目が覚めたなら、よかった」


「口癖、直したのかい?いつもなら、よかったのだよだろう」


「茶化すな」





はて、自分は一体、どれくらい眠っていたのか。
時間も、日時もよくわからない。

わかるのは、自分と同じ色をした空があるということだけだ。





「熱中症、栄養不足、睡眠不足、脱水症状…お前は一体、どれだけ多忙だったんだ。
人の体調には煩い癖に自分のことを放っておきすぎるそれ、早く直せと言っているだろう」


「相変わらずだね、真太郎は」


「お前が倒れたことによって、渋谷が一時パニックになった。お陰で休憩中だった俺が何故かお前に付きっきりで診る羽目になったのだよ…」


「それはすまないね」


「はぁ…今、事情を聞き付けたあいつらがこっちへ向かっているそうだ」





疲れた顔をして溜息を吐く真太郎の横顔を見て、大人になったんだと気付く。

僕達はもう、大人になった。
当たり前のことなのに。ねぇ


そして、初めて理解した。
そうか、僕は。
夢を見ていたんだね。





「…ねぇ、真太郎。地球が自転を止めたら、地球上の全ての物が飛んでいってしまうんだよ。」





真太郎はいきなりどうしたかと眉を寄せたが、構わず僕が話を続ければ真剣な顔をして続きを待った。





「秒速数百メートルで、全部。たしか、音速よりも速かったっけ。…僕等は慣性に従うからね。」





ふと窓の外を見れば、どうしようもなく全てどうでもよくなった。

それほど、綺麗な空だったのだ。


サイドテーブルには、シワシワになった紙袋。
落とした反動で、ああなってしまったんだろう。

買ったマグカップだって、きっと、





「家が、とか。ビルが、とか。そんなんじゃなくて。森とか山とか、そういう規模で。…僕達なんて瞬殺だね」





何もなかった。
今までのことは、夢で。


Aが帰って来るはずがないんだ。
いつも、僕は無機質なあの部屋で一人だった。


僕の理想で、願いで、綺麗な夢





「ねぇ、真太郎。意味なんて、なかったんだ。

自転が止まって、全部飛んでいった世界みたいに。


全部ね、意味なんて、なかったんだよ。」











プロポーズ、出来なくてごめんね。

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設定タグ:黒子のバスケ , 赤司征十郎   
作品ジャンル:アニメ
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雨紅(プロフ) - 何度もコメント失礼します。本当に何回読んでも泣いてしまいます。人間の内面を抉るような文章の書き方、全てに感動しました。繰り返し読んでいます。ありがとうございました。 (2015年12月7日 0時) (レス) id: 85987802b2 (このIDを非表示/違反報告)
緋莉(プロフ) - 感動と切なさで胸が一杯です。。素敵な小説をありがとうございました!! (2015年8月23日 21時) (レス) id: 758bbf0526 (このIDを非表示/違反報告)
悪童 - 赤司様がいいです!!! (2015年7月20日 20時) (レス) id: 36a059792c (このIDを非表示/違反報告)
水城(プロフ) - 赤司様で!!! (2015年5月13日 23時) (レス) id: 4984122abc (このIDを非表示/違反報告)
雨紅(プロフ) - 赤司くんがいいです!! (2015年5月13日 19時) (レス) id: 4a5e53c7aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綵架 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayakamakar1/  
作成日時:2015年4月25日 18時

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