君と見る桜をもう一度… (ページ4)

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「JO1さん、お時間です」

純「はーい、ありがとうございます」

なんとなくしんみりとした雰囲気を切り裂くように
本番の時間がやって来た。

羽織っていた防寒具を全て取って衣装だけになる。

もうすぐ春だと言っても3月の東京はまだ寒い。

思わず身体がぶるりと震えた。

純「切り替えていこうで、奨くん」

（人1）とは高校の同級生だった純喜。

俺らがデビューしてから再会して

俺と（人1）が同棲していた家にもよく遊びに来ていた。

肩にポンと純喜の左手が優しく置かれる。

いつものやって、と言われ純喜に背を向けられた。

いつものことのはずなのに

後ろから抱きしめた純喜の温かさで

少し、涙が出そうになった。

純「奨くん…」

持ち上げられて足の浮いた純喜が名前を呼ぶ

奨「…どうした？」

泣きそうになってることがバレたくなくて

冷たい部屋の空気を身体いっぱいに吸い込んだ。

部屋に響くのは外の喧騒と暖房の音だけ。

純喜は地に足を付けて振り返った。

純「届くよ、（人1）にも絶対。」

純喜の声が響く寒空の下

俺はやっと心の底から泣けた気がした。