君と見る桜をもう一度… (ページ16)

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奥から出てきた看護師さんが俺の対応をしてくれるのを察して

立ち止まって俺を凝視していた看護師さん達が各々の仕事に戻り始める。

奥から出てきた看護師さんは
｢（人1）ちゃんを担当してます｣と丁寧に挨拶をしてくれた。

奨｢あの…（人1）って…？｣

昨日、頭を打って意識の無いまま運ばれていった（人1）。

病院着を身につけていた時点で入院していることは間違いないし

話をするにしろ部屋がわからない。

そしてなにより、意識が戻ってない可能性だってある。

不安と緊張が押し寄せてきて段々と声が小さくなっていく俺を

目の前の看護師さんはまた、凝視し始める。

｢お名前お伺いしてもよろしいです？｣

看護師さんは後ろの棚から分厚いファイルを取り出して机の上にバンっと乗せた。

奨｢…與那城です。與那城奨といいます｣

大量に貼られすぎて意味を成してないインデックスシールの中から何かを見つけた看護師さん。

ホッチキス止めされた書類を取り出して、ペラペラと1枚ずつめくっていく。

｢あぁ！與那城さん！あなたが…！｣

奨｢…？｣

パァっという効果音が鳴りそうなくらい表情が明るくなった目の前の看護師さん。

ファイルを片付けて、

手に持ってた書類を俺側に向け直して説明してくれる。

｢（人1）ちゃんは個室で、

ICUを出入りすることも多いんです。｣

｢だから…入院時に書いて頂いた

ご家族の方1名とご友人1名までしか面会ができないんですけど…｣

机の上に置かれた書類。

その最後の1ページを看護師さんがペンで指した。

そこには…

" 御家族の方: 與那城奨"

奨｢…純喜だ……｣

（人1）のフルネームが印刷されたその下、

俺にとっては見慣れすぎた純喜の字で大きく

｢與那城奨｣と家族の欄に書かれていた。

奨｢ははっ…｣

乾いた笑いが出てきた。

鼻がツンとしてきて上を向く。

自分が想像しているよりも遥かに大きなものが

これから待ち受けている気がした。