検索窓
今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:56,125 hit

第百四十七訓:春暁 ページ6






“――――A、A”




























ゆさゆさと肩を揺さぶる感覚に、意識が浮上する。







視界一面に映ったのは、焦げ茶色。







木の匂いが鼻腔を擽った。





























「―――――しょう、よう?」

「おはようございます。昼寝なんて、あなたにしては珍しいですね」






















顔と上げると、苦笑を零す貴方がいる。







どうやら机に突っ伏し、眠っていたようだ。






眠け眼な目を擦り、小さく欠伸を一つ。






















「春先ってダメなのよね‥ポカポカしてるから、眠くなっちゃう」

「ええ。“春眠暁を覚えず”とはよく言ったものです」

「‥‥悪かったわね」






















じとりと目線を向けるものの、全く意に介さず にこりと微笑んだ貴方は、その腕を伸ばした。







引き寄せられる身体。







たどり着いたのは、貴方の腕の中。






暖かく、逞しい身体に抱きすくめられた。







自然と身体に絡む 大きな腕。







だが、色を含み始めた その手に 眉を顰め、その先を制した。




























「‥‥‥ねえ、この手はナニかしら?」

「漢詩に倣おうかと思いまして。ひとり寝は寂しいでしょう?」

「馬鹿者」

























ぺちん、と軽く頭を叩くものの、相変わらず微笑むままの貴方。







頭を撫でる 暖かな、私の大好きな貴方の手。






春の陽気にあてられ、再び眼が重くなってきた。























「もう少し、眠りますか」

「ええ、そうね‥」






















全身の力を抜き、貴方へと身を委ねる。







陽だまりの匂いが、酷く心を落ち着かせた。






































「まーた昼間っからイチャついてんの。ほんと、お前ら飽きねーよな」
























重い瞼に逆らい 目を開くと、庭先から銀髪がこちらを見ていた。







その隣には、銀の童と同様に呆れ顔をしつつも、微笑む二人の黒髪が。



























「仲睦まじいのは良い事ではないか。先生達が幸せなら、俺は嬉しい」

「ま、お子様な――に眠け眼な――は少しばかり 刺激が強かったのかもしれねぇけどな」

「なんだと!?――、そういう貴様こそ耳が真っ赤ではないか!!」

「ギャーギャーギャーギャー、やかましいんだよ。てめーらガキか」

「「お前もだろ、天パ!!」」























「お前だって鼻血出してんじゃねーか」と罵り、ついには取っ組み合いまで始めた童三人。























「あの子達は、本当に変わらないわね」

「そうですね」


























顔を見合わせ、互いに苦笑を零す私達。



































それは、影が視せた 松下村塾[あの日]の記憶。








うららかな春の午後――――優しい、夢の一欠片。

第百四十八訓:影に、沈む。→←第百四十六訓:激しく哀しい愛を込めて



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (53 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
68人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , , 坂田銀時   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

椿(プロフ) - カフンショウさん» ご質問ありがとうございます!今のヒロインちゃんは無表情で何も喋りません。ただ、虚様とは何百年も一緒にい続けたので、目を見ると何を考えてるかぐらいは解ります。なので(?)彼があんな事やこんな事、そんな事まで強要しても従順に従っちゃいます← (2018年8月29日 23時) (レス) id: 29cb1b4279 (このIDを非表示/違反報告)
カフンショウ(プロフ) - こんにちは、いつも見てます。1つ質問です。主人公は今虚様のところにいますが、喋ったりしているのですか?あと、表情はどうなっているのですか!教えてください。先生!← (2018年8月29日 22時) (レス) id: ded7f4dd14 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ミナト班 (´ω`*)さん» ありがとうございます!虚様との共闘…頑張ります。。堕ちちゃいましたが、彼女なりに闇の中から抗いますので、どうぞお楽しみに! (2018年8月11日 11時) (レス) id: f218e1e191 (このIDを非表示/違反報告)
ミナト班 (´ω`*)(プロフ) - いつも、楽しく拝見させて頂いております。更新頑張ってください!主人公闇堕ち良いですね!!虚と主人公の初めての共同作業(?)楽しみにしてます! (2018年8月11日 1時) (レス) id: c1de0d9e94 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ぱぴこさん» ありがとうございます!そう言って貰えると嬉しいです(o^^o) 細々と更新していきますので、覗きに来てやってください(笑) (2018年8月7日 11時) (レス) id: f218e1e191 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:椿 | 作成日時:2018年8月4日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。