第百八十五訓 吠えるだけの生き物 ページ44
「俺達ァ ただ
隣で“わん”と吠えるだけの
ただの犬がいりゃ
それで、よかったんだ」
絶望に暮れる新八と神楽[アイツら]。
届かなかった手。
残ったやるせなさだけが、行き場を探していた。
吐き出す事もままならない想いが木刀を握る手に宿る。
影に心が支配されそうになりかけた――――まさに、その時。
「これは‥‥」
神々しく輝いていた緑の光は、弱まりをみせ始めていた。
周囲の変化に気をとられた一瞬の隙に、剣を払い退け 距離をとる。
静まりゆく奔流を見渡す虚に、銀時が静かに告げた。
「‥‥アイツが、食いかけてたエサ残して皿下げるタマかよ。
俺ァ アイツのただの飼い主様だ。
アイツがただの犬に還るまで、隣で吠え続けるだけだ」
「‥‥‥‥なるほど」
銀時の言葉に、静まりゆく奔流に、神楽達の顔に希望が舞い戻る。
“定春は生きている”
“まだ、あの激流の中で戦っている”
たった一つの光[希望]が残っているのなら、彼等は絶望に染まる事はない。
希望を信じ、共に吠え続けるだけなのだから。
「少々侮りすぎたのかもしれませんね。よもや、あの獣風情が それ程の覚悟をもって戦いに臨んでいたとは」
理論上、龍脈の源流に身を置けば地上に起こる全てのアルタナの暴走に干渉する事ができる。
事実、地中から噴出する龍脈は静まりをみせ始めた。
しかしそれは、燃え盛る炎の中で火を消そうとする事と同義であり、消そうとしているのは地球そのものといえる巨大な炎。
定春が無事で済む保証など、限りなく薄い。
「だが、世界が終わる事に変わりはない。如何なる小さな希望の芽も、全てここで摘みとりましょう。
奇蹟は、もう二度と起こりませんよ」
虚のもとにぞろぞろと屍が集う。
その傍らには、Aの姿もあった。
「彼を苦しみから解放し、その隣で共に終わる事が
あなた達、家族のできる事ではありませんか」
第百八十六訓:家族という絆→←第百八十四訓:わたしを呼ぶ声※
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椿(プロフ) - カフンショウさん» ご質問ありがとうございます!今のヒロインちゃんは無表情で何も喋りません。ただ、虚様とは何百年も一緒にい続けたので、目を見ると何を考えてるかぐらいは解ります。なので(?)彼があんな事やこんな事、そんな事まで強要しても従順に従っちゃいます← (2018年8月29日 23時) (レス) id: 29cb1b4279 (このIDを非表示/違反報告)
カフンショウ(プロフ) - こんにちは、いつも見てます。1つ質問です。主人公は今虚様のところにいますが、喋ったりしているのですか?あと、表情はどうなっているのですか!教えてください。先生!← (2018年8月29日 22時) (レス) id: ded7f4dd14 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ミナト班 (´ω`*)さん» ありがとうございます!虚様との共闘…頑張ります。。堕ちちゃいましたが、彼女なりに闇の中から抗いますので、どうぞお楽しみに! (2018年8月11日 11時) (レス) id: f218e1e191 (このIDを非表示/違反報告)
ミナト班 (´ω`*)(プロフ) - いつも、楽しく拝見させて頂いております。更新頑張ってください!主人公闇堕ち良いですね!!虚と主人公の初めての共同作業(?)楽しみにしてます! (2018年8月11日 1時) (レス) id: c1de0d9e94 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ぱぴこさん» ありがとうございます!そう言って貰えると嬉しいです(o^^o) 細々と更新していきますので、覗きに来てやってください(笑) (2018年8月7日 11時) (レス) id: f218e1e191 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2018年8月4日 10時