第百七十九訓 激昂 ページ38
「オイ。
俺の犬に、何してんだ
てめェ」
柩の右腕が宙を舞い、地に突き刺さる。
その腕を斬り落としたのは――――銀時。
感情のない声と冷たい灯を宿した眼。
押し留めている猛々しい怒りが、彼の身体を喰い破ろうとしていた。
――――ドゴォ
刀で頭蓋を殴り飛ばされた柩は、かつて彼の右腕だった刃に腹を貫かれ、体を痙攣させている。
額からは脂汗を流し、苦悶の表情を滲ませる柩。
だがそれしきで銀時の怒りは収まらない。
激情に駆られた夜叉は、敵を滅するまで屠り続ける。
彼を完全に終わらせようと飛びかかった。
――――ガキイィン
「!!」
横から感じた もう一つの気配。
そいつに木刀で応戦するものの、視界を過ぎったその姿に思わず目を見開く。
“見間違いであってほしい”
切な願いを込め、立ちはだかる存在[敵]を見据えた。
「‥‥‥あの女を、助けてあげて」
靡く黒髪、紅い眼。
外れてくれりゃあ、どれだけ良かったか
「Aは‥‥‥‥奈落の、
――――――――虚の傍にいる」
「‥‥‥‥‥A、なのか‥‥」
無機質な表情[つら]に、虚ろな瞳[め]。
穏やかで優しい瞳をした師の面影は、そこになかった。
Aと柩の背後から、奈落を引き連れた虚が現れた。
キッと睨みつけると、嘲笑うかのように、にんまりと口角を上げた虚。
剣を握る力が一層強まった。
龍脈の暴走に巻き込まれる直前に虚[アイツ]がみせた、Aへの眼差し。
あの瞳[め]に 一瞬でも松陽がいるのか、あるいは虚自身がAを想う心があるのか――――そう、思っちまったのによ
両者ともに望みは薄くとも、その僅かな希望に賭けた己が悔しくてならなかった。
「てめェだけは‥‥‥てめェだけはァァァァァァァ!!」
松陽の隣で幸せそうに微笑むAが頭を過ぎった。
虚の真実を語ったAの哀しげな微笑みが頭を過ぎった。
その想いをぶちまけるように、眼前に立ち塞がる奈落をなぎ倒す。
倒すべき敵は、ただ一人。
虚に斬りかかろうとする銀時に 再び剣を構えたAを制し、虚が一歩前に出る。
「愚かな。やはり人間は度し難い」
――――ガキイィン
剣と剣が交わる。
激昂する銀時とは真逆に、冷ややかな眼で蹶起した人間の抗いを嗤う虚。
「人間は、終わるべきだ」
吹き飛ばされる銀時。
ペッと血を吐き、不敵に笑う。
「そんなに終わりたきゃ終わらせてやるよ。
不死者[てめーら]も、もう俺達と同じ
ただの人間だ」
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椿(プロフ) - カフンショウさん» ご質問ありがとうございます!今のヒロインちゃんは無表情で何も喋りません。ただ、虚様とは何百年も一緒にい続けたので、目を見ると何を考えてるかぐらいは解ります。なので(?)彼があんな事やこんな事、そんな事まで強要しても従順に従っちゃいます← (2018年8月29日 23時) (レス) id: 29cb1b4279 (このIDを非表示/違反報告)
カフンショウ(プロフ) - こんにちは、いつも見てます。1つ質問です。主人公は今虚様のところにいますが、喋ったりしているのですか?あと、表情はどうなっているのですか!教えてください。先生!← (2018年8月29日 22時) (レス) id: ded7f4dd14 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ミナト班 (´ω`*)さん» ありがとうございます!虚様との共闘…頑張ります。。堕ちちゃいましたが、彼女なりに闇の中から抗いますので、どうぞお楽しみに! (2018年8月11日 11時) (レス) id: f218e1e191 (このIDを非表示/違反報告)
ミナト班 (´ω`*)(プロフ) - いつも、楽しく拝見させて頂いております。更新頑張ってください!主人公闇堕ち良いですね!!虚と主人公の初めての共同作業(?)楽しみにしてます! (2018年8月11日 1時) (レス) id: c1de0d9e94 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ぱぴこさん» ありがとうございます!そう言って貰えると嬉しいです(o^^o) 細々と更新していきますので、覗きに来てやってください(笑) (2018年8月7日 11時) (レス) id: f218e1e191 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2018年8月4日 10時