検索窓
今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:56,127 hit

第百七十九訓 激昂 ページ38






「オイ。








俺の犬に、何してんだ







てめェ」




















柩の右腕が宙を舞い、地に突き刺さる。



その腕を斬り落としたのは――――銀時。







感情のない声と冷たい灯を宿した眼。



押し留めている猛々しい怒りが、彼の身体を喰い破ろうとしていた。




















――――ドゴォ

















刀で頭蓋を殴り飛ばされた柩は、かつて彼の右腕だった刃に腹を貫かれ、体を痙攣させている。



額からは脂汗を流し、苦悶の表情を滲ませる柩。






だがそれしきで銀時の怒りは収まらない。



激情に駆られた夜叉は、敵を滅するまで屠り続ける。






彼を完全に終わらせようと飛びかかった。

























――――ガキイィン






















「!!」





















横から感じた もう一つの気配。







そいつに木刀で応戦するものの、視界を過ぎったその姿に思わず目を見開く。























“見間違いであってほしい”






















切な願いを込め、立ちはだかる存在[敵]を見据えた。


























「‥‥‥あの女を、助けてあげて」

























靡く黒髪、紅い眼。




















外れてくれりゃあ、どれだけ良かったか
























「Aは‥‥‥‥奈落の、











――――――――虚の傍にいる」





































「‥‥‥‥‥A、なのか‥‥」


































無機質な表情[つら]に、虚ろな瞳[め]。









穏やかで優しい瞳をした師の面影は、そこになかった。





















Aと柩の背後から、奈落を引き連れた虚が現れた。





キッと睨みつけると、嘲笑うかのように、にんまりと口角を上げた虚。










剣を握る力が一層強まった。

























龍脈の暴走に巻き込まれる直前に虚[アイツ]がみせた、Aへの眼差し。
















あの瞳[め]に 一瞬でも松陽がいるのか、あるいは虚自身がAを想う心があるのか――――そう、思っちまったのによ














両者ともに望みは薄くとも、その僅かな希望に賭けた己が悔しくてならなかった。

























「てめェだけは‥‥‥てめェだけはァァァァァァァ!!」























松陽の隣で幸せそうに微笑むAが頭を過ぎった。











虚の真実を語ったAの哀しげな微笑みが頭を過ぎった。















その想いをぶちまけるように、眼前に立ち塞がる奈落をなぎ倒す。







倒すべき敵は、ただ一人。







虚に斬りかかろうとする銀時に 再び剣を構えたAを制し、虚が一歩前に出る。























「愚かな。やはり人間は度し難い」






















――――ガキイィン






















剣と剣が交わる。









激昂する銀時とは真逆に、冷ややかな眼で蹶起した人間の抗いを嗤う虚。























「人間は、終わるべきだ」
























吹き飛ばされる銀時。








ペッと血を吐き、不敵に笑う。



















「そんなに終わりたきゃ終わらせてやるよ。









不死者[てめーら]も、もう俺達と同じ









ただの人間だ」

第百八十訓 切り札はとっておけ→←第百七十八訓 陽炎の抗い



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (53 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
68人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , , 坂田銀時   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

椿(プロフ) - カフンショウさん» ご質問ありがとうございます!今のヒロインちゃんは無表情で何も喋りません。ただ、虚様とは何百年も一緒にい続けたので、目を見ると何を考えてるかぐらいは解ります。なので(?)彼があんな事やこんな事、そんな事まで強要しても従順に従っちゃいます← (2018年8月29日 23時) (レス) id: 29cb1b4279 (このIDを非表示/違反報告)
カフンショウ(プロフ) - こんにちは、いつも見てます。1つ質問です。主人公は今虚様のところにいますが、喋ったりしているのですか?あと、表情はどうなっているのですか!教えてください。先生!← (2018年8月29日 22時) (レス) id: ded7f4dd14 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ミナト班 (´ω`*)さん» ありがとうございます!虚様との共闘…頑張ります。。堕ちちゃいましたが、彼女なりに闇の中から抗いますので、どうぞお楽しみに! (2018年8月11日 11時) (レス) id: f218e1e191 (このIDを非表示/違反報告)
ミナト班 (´ω`*)(プロフ) - いつも、楽しく拝見させて頂いております。更新頑張ってください!主人公闇堕ち良いですね!!虚と主人公の初めての共同作業(?)楽しみにしてます! (2018年8月11日 1時) (レス) id: c1de0d9e94 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ぱぴこさん» ありがとうございます!そう言って貰えると嬉しいです(o^^o) 細々と更新していきますので、覗きに来てやってください(笑) (2018年8月7日 11時) (レス) id: f218e1e191 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:椿 | 作成日時:2018年8月4日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。