第百六十訓 甘い物の後には辛い物が欲しくなる ページ19
「ったく、アイツどこ行きやがったんだ」
近藤さんの捜索で一時 隊を割った隊士達。
俺達とも合流し、無事に近藤さんを救出できたにも関わらず、ただ一人――――山崎だけがいつまでたってもその姿を現さなかった。
「土方さんの横暴に嫌気が差して尻尾巻いてトンズラしたんじゃないんですかィ？」
「んなワケあるか」
何だよ、俺の横暴って
監察の必需品だが何だがしらねェが、
無駄に備蓄されてるあんパンだって許容してるし、あろう事か俺にあんパンを投げつけてきやがった事さえ許してやった
ホラ、こんなにも寛大な俺のどこが横暴ってんだよ
あー思い出しただけで本当腹立つ
もうあんパンなんてこりごりだ
アイツ戻ってきたら塩っけのあるカーネルにしてやる
山崎とあんパン、そしていつものように俺への嫌がらせをやめない総悟への苛立ちを募らせながら走ると、見晴らしの良いエリアにたどり着いた。
淡い緑の光が束となって織りなす柱――――龍脈の暴走。
その巨大な柱の下に、もう一人の探し人[アイツ]はいた。
「A！！無事だったんでさァ」
虚に連れ去られた後、行方知れずとなっていたA。
その姿を確認すると、すぐさまアイツのもとへ駆け寄ろうとする総悟の肩を掴み、制した。
訝しげな目を向ける総悟をじっと見つめると、冷静さを取り戻したのか いつも通りの赤い目が戻ってきた。
ようやくコイツもこの場の“異常さ”に気付いたようだ。
Aが纏う異様な空気、そして俺達に向けられた奇妙な視線に。
「‥‥オイオイ、これは一体どういう事でさァ」
瓦礫の陰から現れた数多のヒト。
それは 真選組の隊士だけでなく、江戸の町民、そして奈落までもいた。
彼等は皆、傷つき、血に塗れ、虚ろな目をしている。
ぞろぞろと湧いて出て、ついには俺達を取り囲んだ。
「山崎ッ！？」
バタッと何かが倒れる音に目線をやると、腹から血を流す山崎が転がっていた。
服の上からでも重傷とわかる程の出血量。
ギッと開いた瞳孔をさらに開き、屍[奴ら]を睨みつけた。
「お前ら、局中法度を忘れたんでィ？これを破った奴に どんな末路があんのかを」
隣から聞こえた低い声。
横目で総悟を見ると、その眼には歪な火を灯していた。
「んなもん 一つだ」
自嘲するように呟き、抜刀する。
剣先を、敵[A]へと向けた。
「‥‥奈落と手ェ組むなんざ、士道不覚悟で切腹だ」
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椿(プロフ) - カフンショウさん» ご質問ありがとうございます！今のヒロインちゃんは無表情で何も喋りません。ただ、虚様とは何百年も一緒にい続けたので、目を見ると何を考えてるかぐらいは解ります。なので(?)彼があんな事やこんな事、そんな事まで強要しても従順に従っちゃいます← (2018年8月29日 23時) (
レス) id: 29cb1b4279 (このIDを非表示/違反報告)
カフンショウ(プロフ) - こんにちは、いつも見てます。1つ質問です。主人公は今虚様のところにいますが、喋ったりしているのですか？あと、表情はどうなっているのですか！教えてください。先生！← (2018年8月29日 22時) (レス) id: ded7f4dd14 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ミナト班 (´ω`＊)さん» ありがとうございます！虚様との共闘…頑張ります。。堕ちちゃいましたが、彼女なりに闇の中から抗いますので、どうぞお楽しみに！ (2018年8月11日 11時) (レス) id: f218e1e191 (このIDを非表示/違反報告)
ミナト班 (´ω`＊)(プロフ) - いつも、楽しく拝見させて頂いております。更新頑張ってください！主人公闇堕ち良いですね！！虚と主人公の初めての共同作業(?)楽しみにしてます！ (2018年8月11日 1時) (レス) id: c1de0d9e94 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ぱぴこさん» ありがとうございます！そう言って貰えると嬉しいです(o^^o) 細々と更新していきますので、覗きに来てやってください（笑） (2018年8月7日 11時) (レス) id: f218e1e191 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椿 | 作成日時：2018年8月4日 10時
