【銀魂】花一匁 参

第百三十九訓　血と涙 ページ46

あと幾つ屍を踏み越えれば たどりつける

「火之迦具土神は発射まであと15分です。ですが、私が30分まで引きのばします」

「いけ、晋助。お前の背中を追いかけるのが、鬼兵隊だ」

敵の屍も 味方の屍も

全て踏み越え

たどりついた その先に

一体 何がある

“晋助”

“奇蹟を”

俺には もう何も見えねェ

自分の気持ちさえ もう解りゃしねェ

「貴方は、何と闘っているの」

いつか 伊賀に赴く時、アイツに向けられた言葉。

先生のためなら、何だってできると思っていた

何を犠牲にしようとも

誰の屍を踏み台にしようとも

俺達から先生を奪った この国を踏み潰す事ができるのなら

それ以外の全てを切り捨てる覚悟は決めていた

‥‥ハズ、だった

――――ドッ

――――ゴガァァア

解放軍の一人がバズーカで鉄橋を破壊する。

落ち行く中で思い出すのは、命を張り、散らせていった鬼兵隊[奴ら]の面。

そして――――。

“晋助、貴方の志は何？”

もう、何も なくなっちまった

「晋助様ァァァ！！」

また子の声が聞こえた。

目を開くと、敵が落としたであろうバズーカ。

そいつを掴み、瓦礫めがけてブッ放す。

発生する爆風を利用して、火之迦具土神の制御装置へと接近した。

だが俺には そいつを嘆く資格もねェ

幾多の屍を踏み台にしてきた俺は

お前達のために流す涙もなくしちまった

剣を、構えた。

だからせめて

この血くらいは

お前達のために流させてくれ

「よっ‥‥よせェェェェェ！！」

この血肉が この剣が果てるのは

お前達の屍の上

そこが俺の たどりつくべき場所だ

「その装置に手を出せば‥‥お前らもろとも この船は‥！！」

倒すべき敵を見据えた。

右目から 血が、流れた。

「だから、どうした」

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