【銀魂】花一匁 参

第百三十訓　フラグのバラまきすぎにご用心 ページ37

「と、いうわけで だ。お兄ちゃんがAと結婚すれば、Aはお前の義姉。毎日の生活に喘いでる地球のバカ兄貴と違って、ちゃんと稼いでいる義姉が傍にいてくれれば、お前の生活も良くなるだろ」

「‥‥毎日、酢昆布10箱食べれるアルか？」

「なるなる」

ぐぬぬ と真剣に頭を悩ます妹と、能天気に妹を懐柔しようとするバカ兄貴。

あのすっとこどっこい、番にしちまえば傍から離さんだろうに

それに、酢昆布も結婚も、虚に勝たねェとそんな未来いつまでたっても やってこねェぞ

「しかも A、料理上手だろ。義姉になれば、朝昼晩 三食 美味しい手料理が腹いっぱい食べられるようになるぞ」

それが決め手と言っても過言ではなかった。

ピカッと目が輝くと、力強く嬢ちゃんの手を掴む。

あー嫌な予感しかしねェ

「A、神威と結婚するアル！！」

「‥‥神楽ちゃん」

キラキラと目を輝かせる妹に、にこにこと笑う兄貴。

ガクリと首を垂れる哀れな女。

俺達ぁ一体いつまで こんな茶番に付き合わなきゃなんねェんだ‥

心の底から終わりを求めた その刹那

「兄ちゃん、悪いがお前に師匠はやらねェよ。Aは俺のだ」

「いんや。コレばっかりは、旦那にも譲れねェな。アイツと出会った時から‥いや、目と目が合った瞬間 気づいちまったんだ‥‥奴はとんでもないものを盗んでいきやがった。俺の心でさァ」

「いやそれ銭形警部ゥゥゥゥ！！」

「誰彼構わず あちこち再戦フラグおっ立てといて、本命一人とハッピーエンド迎えられると思ってねェだろうな、兄ちゃん」

「てめェにお似合いなのは、東西南北のヒロインから串刺しにされる修羅場エンドだけでぃ真中よ」

男達の愚かな争いの渦中にいるAの目は、しんでいた。

「副長は参加しなくていいんですか？Aさん争奪戦」

「俺はいいわ。つーか 何このバ○ェラーみたいな展開。今から新シリーズでも始まんのかよ」

しかも何だよ 争奪戦って

リング争奪戦じゃねェんだし

つーかそれ REB○RNだろーが

一人でボケとツッコミをしだすあたりに疲れを感じ、頭を振る。

幾らかマシになった頭で、げんなりとしたAを見据えた。

ギャーギャーと騒がしい現実とは裏腹に、脳裏には雨に打たれる あの日の姿がチラつく。

「あの人の前に立つと、声を聞くと、固めた筈の決意が、簡単に壊されてしまう‥」

恐らく、アイツは今でも――――。

「なるほど。では、彼女の元 伴侶たる私も参加しましょう」

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