【銀魂】花一匁 参

第百二十九訓　悪事、身にかえる ページ36

「吉田A。推定年齢 25歳。職業 薬師。
前職 大江戸病院 並びに 幕府お抱え 薬師
現職 警察庁長官 松平片栗虎 直属の隠密
趣味は料理と家計簿！根っからの自炊派で昼メシすら弁当持参！中身も日の丸弁当じゃねェ！！ふわふわの卵焼きにタコさんウインナーまで入ってやがる！！」

噛まずに一気に読み上げる事ができた達成感と同時に、背筋を撫でられるような恐怖感が阿伏兎を襲う。

冷たい視線を感じた方向に 恐る恐る顔を向けると、案の定 冷ややかな紅い眼が俺を睨みつけていた。

「貴方、恩を仇で返すのね」

「俺だって、命は惜しいんだよ」

伊賀や烙陽で嬢ちゃんにもらった恩は忘れちゃいねェ

だが如何せん、あの団長相手になると俺の首と給料――――いわゆる 大人の事情って奴が絡んでくる

義手も新調したばっかで、返さなきゃならねェ ツケがまだまだ‥‥

頭の片隅でやましい考えを展開していると、目の前に嬢ちゃんがいた。

「上司と恩人。秤にかけるのって難しいわよね」

そのツラには、団長と負けず劣らずの薄気味悪い笑みを浮かべてやがる。

ゴゴゴゴゴ と嬢ちゃんの背後に燃える炎が見えた気がした。

「地球にはこういう言葉があるの。“虎を猫と見誤るな”って」

コツンと可愛らしい音が聞こえたと同時に、俺の目線は嬢ちゃんから地面へと変わっていた。

いやいや、嬢ちゃんは虎じゃなくてモンスターの間違いだろう

と思っていたら、視界は既に土の中。

待てって！！冗談だって！！息できねェからよォォォォ！！

第百三十訓　フラグのバラまきすぎにご用心→←第百二十八訓　宇宙のナンパ師　改め　宇宙の求婚者

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す