第二十訓 因果 ページ22
「これも因果応報って奴ですかね。暗殺で全てを築いた定々が暗殺で終わりをむかえるなんざ」
「下手人は？」
「さて。探すつもりがあんだかねーんだか。さっぱり進展せずですよ」
おそらく、上は捜査を打ち切りたがってやがる
天導衆が定々を始末した線も薄い
つまり
「一橋から天導衆への宣戦布告じゃねーでしょうか」
その証拠に、天子から辞意取り消しの勅命まで出やがった
ま、この裏で天導衆が動いていた事は明白
一橋の政権奪取を阻止するために、茂々様は暫定政権としてつなぎ止められたに過ぎねェ
「天導衆は一橋を敵と見据えたという事でさァ」
「その一橋派とやら、政権を奪取するために天導衆とやり合うつもりなのか」
「はてさて政権奪取のためなのか、それとも。幕府ならぬ、世の中、ひっくり返そうとしてんのか」
闇は深まるばかりでさァ
あ、そうだ
闇といえば、もう一つ
「アンタらと俺らおまわり以外にも、第三勢力があったのしってましたかィ？勢力といっても、たった一人でしたけど」
旦那、アンタほんとわかりやすいや
目が笑ってやせんぜ
「チャイナに眼鏡に瀕死の爺さん。コイツら囲んでた大量の御徒衆を一瞬で伸したんでさァ。しかも斬ったのは得物だけ。あの状況下で殺らずに敵を制圧する事がどれだけ難しいか‥‥アンタならわかんだろ」
戦場じゃ、殺す方が簡単だ
斬っちまえば敵は動かなくなる
だがアイツが斬ったのは刀であって人じゃねェ
まァあの感じじゃ峰打ちでも十分人を斬り殺せるだろーが
命を奪わない絶妙な力加減で敵を制圧する修羅のような奴
なァ旦那
教えてくれよ
「薬師と思えば剣の腕が滅法強ェ。旦那、あの女‥‥美羽は一体何者なんです」
なんつー顔してんすか
そんな顔されちゃ何も言えねーでしょうが
立ち上がった旦那は、真っ直ぐに前を見据えていた。
「アイツが誰かなんて俺もわかんねェ。だが、俺はしってる。缶蹴りして笑ってたアイツを。爺さん助けようと必死になってたアイツを」
敵蹴散らすと一目散に爺さんのとこ走ってった美羽の姿が蘇る。
“絶対に死なせない”
そう言ったアイツの顔は本気だった
「命の重さを誰よりもしってるのが美羽だ。美羽は、俺たちの仲間だ」
そう言い切った旦那の顔に迷いはなかった
なんつーか、意外と旦那って
「一途なんすね」
そのレース、俺も乗っていいですかィ
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椿(プロフ) - 夜空 星月さん» ま、ま、まじですか！ありがとうございます( ；∀；) 明日も更新しますので、ぜひご覧になってください☆ (2018年6月3日 23時) (
レス) id: f218e1e191 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 星月(プロフ) - とても面白かったです！なんで今まで気付かなかったんだろうって後悔したくらい。更新楽しみにしてます！ (2018年6月3日 23時) (レス) id: 5d15086cca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椿 | 作成日時：2018年5月20日 23時
