検索窓
今日:4 hit、昨日:9 hit、合計:149,066 hit

第十訓 300円あげるからこれ以上は言わないで下さい ページ12






「ごめんください」





午後三時



半休を取った私は、以前貰った名刺を頼りに“万事屋銀ちゃん”と掲げられた玄関の前にいた。

すると、ドタドタと騒がし気な足音と共に、扉が勢いよく開かれた。





「美羽ー!待ってたアルよ!」





ニコニコと満面の笑みで出迎える神楽に微笑み返す。

遅れて銀時も顔を出し「待ってたぞ」と笑っていた。






万事屋までの道すがらで買った土産を神楽に手渡す。






「キャッホー!江戸じゃ代官山でしか手に入らない銀龍苺の大福ネ!」

「全部ひとりで食うんじゃねーぞ」






嬉々として走っていった神楽ちゃんに注意する銀時


その横顔はまるでお父さんみたい。


振り向いた銀時が苦笑する。




「悪いな」

「いいのよ」









「お前、銀ちゃんのこれアルか?」





開口一番。

差し入れた菓子を食しつつ、小指をピシッと立てる神楽に新八が慌てふためく。





「ちょっとォォォ!!神楽ちゃん、美羽さんに失礼じゃないか!こんな天パの‥こ、恋人なわけないでしょ!」

「こんなモジャモジャのどこがいいアルね」

「天然パーマ関係ないよね?しかも美羽じゃなくて、俺に対して失礼だよね!?それ!!」





万事屋恒例の茶番をニコニコと見守る美羽。





「昨日、真選組に絡まれてるところを銀さんに助けてもらったの」





今日はそのお礼、と微笑む美羽。





「あいつらは正義の警察を取り繕ったただの野蛮人ネ。美羽も気を付けるアル」

「いや、神楽ちゃん。あれだけあった美羽さんの差し入れ、ほとんど一人で食べつくす方がよっぽど野蛮人だと思うよ」

「仕方ないネ。万事屋の家計は毎日、火の車。あの甲斐性無しがやっと稼げる女見つけたアル。甘い汁は啜えるうちに啜っておくべきネ」

「神楽ちゃァァん!300円あげるからこれ以上は黙っててェェ!!」





あるがままの事実を包み隠さず述べる神楽に、背筋が寒くなる俺。

新八なんか「お茶淹れてきます」つって台所に逃げやがった。

あー、美羽からの視線が痛い。





「銀さん」





冷ややかな声に、肩が跳ね上がる。

冷や汗だらだらで美羽の顔を見ると――――笑っていた。

目、以外は。





俺、終わった。

第十一訓 足の痺れと説教と→←第九訓 帰り道



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (50 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
116人がお気に入り
設定タグ:銀魂 ,   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

椿(プロフ) - 夜空 星月さん» ま、ま、まじですか!ありがとうございます( ;∀;) 明日も更新しますので、ぜひご覧になってください☆ (2018年6月3日 23時) (レス) id: f218e1e191 (このIDを非表示/違反報告)
夜空 星月(プロフ) - とても面白かったです!なんで今まで気付かなかったんだろうって後悔したくらい。更新楽しみにしてます! (2018年6月3日 23時) (レス) id: 5d15086cca (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:椿 | 作成日時:2018年5月20日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。