半夜兎の舞姫 3【沖田総悟】

涙の意味 ページ24

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｢ 今日こそ決着つけるから ｣


『 …彼に別れの挨拶はしてきたの？ 』


｢ 必要ない ｣






凄まじいスピードで私と今井信女の剣が
ぶつかり合う音が響く。



私の剣さばきについてこれる奴は
総悟くらいしかいないと思ってたけど、
相変わらずこの女は一瞬の隙すら見せやしない。






『 貴方が真選組側に戻る事は異三郎も気付いていた 』


｢ あらあら、バレてたか〜 ｣


『 …どうして貴方はそこまで真選組にこだわるの 』






互いの正面からの一撃で、
私の頬が斬られ、信女の剣が折れた時

信女は刀を降ろした。






『 どうして…どうして戦うの 』


｢ … ｣


『 どうして抗うの。
貴方たちは、生まれる前に消えるはずだった。

なのにどうして…異三郎に剣を向けるの。



どうして ＿＿＿＿＿＿ 異三郎だけが… 』






信女は昔の事を思い出していた。


自分の嫁と子どもを殺した信女を
殺さなかった異三郎。

ほぼほぼ敵とも言えよう真選組を救った異三郎。


でも、そんな異三郎の事を
誰も救ってはくれなかった。






＿＿＿＿＿＿ 救えなかった。






『 異三郎は、ここで起きる火を利用するつもり。
全てを壊し尽くし、国の力を削ぎ落とそうと… 』






崖の下では新たな奈落の船が上陸。

そして信女はまた剣を向けてくる。






｢ なんで止めなかったの…！

アンタにとって唯一の大切な人が
国と心中するっていうのに、黙って見てるの！？ ｣



『 …それが私の役目だもの 』






" 私の為にその剣を使い続けろ。
そして来るべき時が来たら、その剣で私を斬れ。

＿＿＿＿＿＿ それが私の復讐だ。"






異三郎の全てを奪っておきながら、
異三郎を斬れなかった。

生き永らえさせてしまった。


だから、今度こそ自分が斬ってあげるんだという
信女の強い思い。

信女が剣を振るう理由。






それなのに、






｢ っ…！！｣






信女の目からは、涙がこぼれ落ちていた。


キーンと剣がぶつかり合い、
1本の剣が空へと舞って座り込む信女の横に突き刺さる。






｢ 私は今まで、自分が守りたいものを守ってきた。

たとえ相手が父親だろうと、昔の相棒だろうと
自分の気持ちを信じてきた。



あの人に何を言われてるのかは知らないし、
アンタとあの人が歩んできた道も詳しくは知らない。



でも、アンタのその涙が
本当の気持ちなんじゃないの ｣






｢ ＿＿＿＿＿＿ 自分に嘘をつくのは、もうやめなよ ｣









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