半夜兎の舞姫 2【沖田総悟】

天秤にかけるのはズルい ページ36

.






『 そろそろいいか、神威。
俺にも話をさせてくれ 』






黙っていたお父さんが急に口を開いた。

真選組の横には、騒ぎを聞きつけてやって来た
万事屋の3人もいた。






「 話すことなんて無い 」


『 冷てぇなァ…実の父親だっつーのに 』


「 父親面しないで 」






私が刀に手を掛けると、
" まぁ 待て " と片手を挙げた。






『 交渉しないか 』


「 交渉…？」


『 A、俺と一緒に来い。
そうすれば 地球には手を出さない。

だが、来ないと言うなら…




＿＿＿＿＿＿地球諸共、お前らに死んでもらう 』






信じられなかった。

父親だと主張するくせに
一緒に来ないなら殺すだなんて…






『 自分を犠牲にして仲間を守るのか。
自分の我儘で全てを失うのか。

どちらを選ぶべきかは、
司令官とやらを務めるAならわかるはずだ 』






コイツの目的は私に会いに来るなんて事じゃなかったんだ。

私を連れ去る事が真の目的。



自分と仲間を天秤にかけられたら、
どちらを選ぶかなんて決まっている。






「 ……わかった 」






こんなことになるくらいなら、
もっとやりたいことやっておけば良かった。






「 アンタと一緒に行く。

その代わり、この人たちには…地球には
絶対手を出さないと約束して 」


『 Aさんっ…！！』


『 何言ってるネ！』


「 ごめんね……みんな 」






振り向けば 全員悔しそうに下を向いている真選組。
泣きそうなメガネと神楽ちゃん。

そして、真っ直ぐ私を見つめる銀さん。



その目は、" 本当にそれでいいのか "
そう言っているような気がした。

だから私は " いいの " と笑った。






『 A… 』


「 いいの。これでみんなを守れるなら。
春雨に入ったらさ、神威の団に入れてよ。

そうすれば、また一緒にいられるよ 」






神威はそれを望んでいたはず。

それなのに、なんでそんなに困った顔で笑うの？






「 神威、嬉しくないの…？」


『 ……泣きながら言われても、嬉しいわけないでショ 』


「 えっ… 」






そう言われて、自分が泣いてることに初めて気付いた。






『 A、早く来い 』


『 行かなくていい 』


「 神威、行かせて 」






神威は私の腕を掴んで離さない。






『 来ないならここにいる全員、死ぬぞ。
お前のせ『 それはねぇな、おっさん 』






横を見ると、さっきまで後ろにいたはずの総悟が
私の隣に来ていた。







.

みんなの大切で、好きなもの→←例え相手が誰であろうと

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す