半夜兎の舞姫 2【沖田総悟】

呪われた妖刀 ページ14

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『 …てな具合だ。
全ては刀を手に入れてからおかしくなっちまった。

どうやら俺は本当にコイツに呪われちまったらしい 』


『 っははははははは……いでっ 』


「 笑いすぎ 」






今は、総悟と2人で
トシが最近おかしくなった訳を聞いている。

そして大笑いする総悟にゲンコツを食らわせたところ。






『 だから言うのやだったんだよ…
信じてねェだろお前。信じるわけねェだろお前。』


「 私は信じるよ。
あんなトシ、恥ずかしくてもう起こしてもらえない 」


『 俺の存在意義ってそこなの？』






鬼の副長とまで言われたトシが、
ただのオタクに成り下がるなんて…

オタクに毎朝起こしてもらうなんて絶対に嫌！！






『 ふと気付くと勝手に別人格と入れ替わってやがる。

いや…あれは別人格なんかじゃねェ。

人が誰しも持っているヘタレた部分が
コイツによって目覚め始めているんだ 』


「 え、じゃあトシの根本はオタクってことでいいの？」






すると、今まで大笑いしただけだった総悟が
やっと口を開いた。






『 土方さん、ヘタレを刀のせいにしちゃいけねェや。
土方さんは元々ヘタレでしょう 』


『 …そうっすよねェ。
俺なんて、元々こんな… 』


『 あらら…こいつァ本当に調子がおかしいやァ 』


「 いつもなら斬りかかってるはずなのに… 」






総悟に " ヘタレ " なんて言われて
トシがぶちギレないはずがない。

ましてや落ち込むなんて以ての外。






『 じゃあんな妖刀、
さっさと捨てちまえばいいじゃないですかィ 』


『 そいつが出来れば苦労しちゃいねェ。
気が付いたら厠や風呂にまで持っていっちまう始末だ 』


「 女よりしつこい妖刀だね 」






トシはコーヒー
総悟はオレンジジュース
私はリンゴジュースを片手に話を進める。






『 土方さん、こんな時にうかうかしてたら
伊藤さんに副長の座 奪われますぜィ 』


『 ふん、それどころじゃねェよ。
俺ァこんなんなっちまってから既に10を超える
局中法度を冒してる。

明日にでも伊藤から切腹の申し渡しが来てもおかしかねぇよ 』


「 トシ… 」


『 今のヘタレた俺じゃ飲みかねねぇ 』






タバコの火を消したトシは、
刀を持って席を立った。





『 お前らも、俺なんかといると
伊藤に目ェつけられんそ』






そう言って背を向け手を振るトシの背中は、
いつもよりも寂しそうだった。







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