ゴリラの無駄な後悔と心配 ページ47
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ある日の昼下がり
攘夷志士らをしょっぴいてる時だった。
後ろからマダムたちの話し声が聞こえてきた。
『 あら、あれAちゃんじゃない 』
『 相変わらず綺麗ね、Aちゃんは 』
『 あんな別嬪さんなのに
どうして真選組になんているのかしらねぇ 』
『 とってもいい子なんだから、
本当ならお嫁に行ってたっていいはずなのに…
真選組なんかにいちゃ、恋すら出来ないわ 』
そんなマダムたちの話を聞いて、俺は気付かされた。
俺の勝手でここまで連れてきてしまったから
Aは普通の女の子になれなかったのだと。
手の汚れる仕事を
まだ小さかったAにさせるべきではなかった。
そんな後悔が、今更ふつふつと湧いて出てきた。
その夜、(なぜか)俺の部屋で
トシと俺は始末書を
Aと総悟はボリボリとクッキーを食べていた。
真選組として働いている事を
A本人はどう思っているのか。
本当はやりたくないならやめたっていい。
俺は兄として、Aのしたい事をさせてやりたい。
『 ……Aはいつだって真選組をやめてもいいんだぞ 』
トシと総悟は聞いていないフリをしながらも、動きが止まった。
Aは驚いたようで、目を見開いている。
『 Aは女の子だ。
綺麗に着飾って街を歩きたいだろう
素敵な男性と恋もしたいだろう
ごめんな、俺がAを
ここまで連れてきちまったから… 』
そう言うと、Aはふっと笑った。
「 私は好きでここにいるんだよ、お兄ちゃん。
確かに男だらけでむさ苦しいけど、
嫌だったらとっくに出てってる。
真選組はもう私の家族。大好きだから 」
『 A… 』
「 非番の日には総悟と街に出たり、
神楽ちゃんとか妙ちゃんと遊んだりしてるし。
それに、私だってちゃんと恋ぐらいしてるよ 」
そう言って、Aは満足気に部屋を出ていった。
『 近藤さん、安心してくだせェ。
あんな女、嫁に貰えんのは俺くれェでさァ 』
そう言って、総悟も満足気に部屋を出ていった。
『 ……え?どういうこと?』
『 そういう事だ、近藤さん 』
よくわからんが要するに、
俺の心配は無用だったってことか…
最愛の妹が楽しく過ごしてくれているならそれでいい。
______ 幸せでいてくれるなら。
『 やっぱり意味わかんない!!
どういうことォォォォ!?!?』
『 そういう事だ、近藤さん 』
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リノ(プロフ) - きゅんきゅんが止まらなくて心臓が潰れそうです。これからも楽しみにしています! (2020年10月23日 15時) (レス) id: fc408fc325 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini | 作成日時:2020年10月19日 4時