半夜兎の舞姫【沖田総悟】 (ページ44)

今日:7 hit、昨日:24 hit、合計:297,204 hit

不器用だらけの真選組ページ44

.

屋上から見上げる空は
私達の心とは裏腹に、綺麗に澄んでいる。

向こう側にはトシがいて、
ボリボリとせんべいを食べる音と
鼻をすする音が聞こえる。

結局私は、

誰も救えなかった
誰も守れなかった＿＿＿＿＿＿

俯いていると、コトンと頭に何かが乗っかった。

『ほらよ、飲め。
銀さんおすすめ、イチゴミルクだ』

「 …今お金ない」

『今日は銀さんの奢りだ』

そう言って、私の隣で手すりに手をかける。

「本当に…これでよかったのかな…
結局私はミツ姉の幸せも、総悟の幸せも守れなかった」

私がそう言うと、旦那は空を見上げた。

『あのまま姉ちゃんがアイツと結婚したとして、
幸せになったと思うか？お前は』

「 …ううん」

『だったらいいんじゃねぇの？
お前はちゃんと守ったんだよ…姉ちゃんのこと』

そう言って、旦那は私の頭を撫でた。

本当に守れた…？
ミツ姉の幸せを、私は守れたの…？

『沖田くんのことは、
お前がこれから幸せにしてやればいいだろーが』

「 … 」

『 …惚れてんだろ、沖田くんに』

私がコクリと頷くと、旦那は " フッ " と笑った。

『だったら目一杯愛してやれ。
それだけで、きっと沖田くんは幸せだ』

「旦那っ… 」

愛することで、総悟が幸せになれるんだったら
私はいくらでも愛すよ。

まだそれを言葉にすることは出来ないけど、
どんな形でだって愛することは出来る。

「旦那っ…今だけでいいから…胸、貸してよ」

『 …お好きなように、お姫様』

微笑んだ旦那は、私を優しく包み込んでくれた。

トシも私も…そして総悟も。

わかってるくせに、回りくどいことばっかりして。
みんなみんな、不器用だ。

「本当、不器用ばっかりで困っちゃうね… 」

.