非番って結局休めない ページ32
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『 …おい…起きろ 』
「 んー… 」
『 …起きろっつってんだろ 』
「 …わかった、起きるから…トシ、おんぶ 」
" チッ " という舌打ちが聞こえた直後
伸ばした手をグイッと乱暴に引かれ、起こされる。
うっすらと開いた目に見えるのは
明らかにトシではない髪の色。
「 あ…れ…?」
『 まだわかんねェのかィ 』
ぼーっとしている私に
その男は最後に耳元で爆弾を落とした。
『 早く起きねぇと ______ キスすんぞ 』
その言葉に、カッと目を開くと
目の前にはニヤリと笑う総悟。
「 っ…総悟…!!」
『 その乱れ具合、誘ってんのかィ?』
焦って下を見れば
はだけた胸元に、あらわになっている太もも。
『 ………バカ総悟ぉぉ!!』
久しぶりの非番、
ゆっくり休むことは出来なそうだと覚悟した。
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『 …テメェの私服はなんでいつも袴なんでィ 』
「 だってさ、結局非番でも帯刀するし
何かあった時 袴の方が動きやすいんだもん 」
基本、昔から私と総悟の非番は被っている。
まぁ多分、お兄ちゃんが気を遣ってくれてるんだと思うけど。
だからいつも、非番の日は総悟と出掛けている。
「 今日はどこ行くの?」
『 さァな 』
「 女の子連れて歩くのにノープランかよ 」
『 俺が連れて歩いてんのは雌ゴリラでさァ 』
「 は?やんのかクソサド」
『 やってみろィ、クソ女 』
いつもと同じようにいがみ合っていると、
後ろから " チャリン " と自転車の音がした。
振り返った時にはもう自転車は目の前で
避けても間に合わないと思い、目を瞑った。
でも何故か自転車の当たる衝撃は無く、
ふわっと誰かに抱きしめられている感覚。
『 危ねぇなァ… 』
「 え… 」
目の前には総悟の胸板。
ぶつかる直前に私を引き寄せてくれたようだ。
『 すっ…すみません!大丈夫でしたか…!?』
自転車に乗っていた人が
心配して私に触れようとすると、
さらにぎゅっと守るように抱きしめられる。
『 …軽々しくコイツに触れようとすんじゃねェ 』
『 ひっ…!す、すみませんでしたぁぁぁ!!』
いつになく低い声で総悟が言うと、
自転車の人は慌てて逃げていった。
それでも抱きしめた腕を緩めない総悟。
私の心臓はいつもより何倍も早く大きく動いていて、
総悟に聞こえていないか心配だった。
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リノ(プロフ) - きゅんきゅんが止まらなくて心臓が潰れそうです。これからも楽しみにしています! (2020年10月23日 15時) (レス) id: fc408fc325 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini | 作成日時:2020年10月19日 4時