特別な存在 ページ20
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「 かっ…神威…?」
『 久しぶりだネ、A 』
私を連れ去った犯人は
14年前の相棒、神威だった。
ニコリと笑う顔は変わらないけど、
随分と背が伸びて男らしくなってしまった。
俗に言う、イケメンに成長していて
なんだか急に恥ずかしくなった。
『 すごく…会いたかったヨ 』
「 …私も…会いたかった 」
壊れ物に触るように、私の頬を撫でる。
眉を下げて微笑む姿に
何故か涙が溢れだしてきた。
『 泣かないでヨ〜、そんなに嬉しい?』
「 だって…っ…
私、神威に何も言わずに出て行ったからっ… 」
そう言えば、ふわっと彼の匂いに包まれる。
『 …もういいヨ。
俺たちを守るためだって、わかってたから 』
「 神威っ… 」
『 ずっと探してた…Aのコト。
シンスケから聞いたんだ、地球にいるって。
だから溜まってた仕事片付けて、すっ飛んできた 』
ぎゅうっと抱きしめる力が強くなる。
私も同じように抱きしめ返し、
神威の胸に顔を埋める。
『 昔も可愛かったけど、
こんなにキレイになってるなんてビックリだよ 』
「 神威こそ、かっこよくなっちゃって… 」
そう笑い合えば、14年も離れていたなんて
感じないような空気に包まれる。
『 でも、まさかおまわりさんになってるとはね… 』
「 …それは神威もでしょ。
よりによって春雨なんて… 」
宇宙海賊 春雨。
天人によって構成される
銀河系最大のネットワークを持つ犯罪シンジケート。
要するに、私たち真選組の敵。
『 そこで提案なんだけどサ?
______ 俺と一緒に来ない?』
「 え…それって… 」
『 Aも春雨の一員になるってコト。
14年探してやっと見つけたんだ。
…もう離れたくない 』
そう言って、私の両手を握る神威。
神威の気持ちは嬉しいけど、
もちろん私だって離れたくないけど…
私にはもう、新しい居場所… " 家族 " がある。
『 お願い…一緒に行こう、A 』
「 …私は…『 人の女に何してんでィ 』
「 っ…!?」
断ろうと口を開けば
聞き覚えのある声に遮られ、一気に視界が真っ暗になった。
誰かに抱きしめられてる感覚と
私の好きな、落ち着く匂い。
『 うーん…ヒーローの登場かな? 』
『 白馬の王子様でさァ 』
そう言ってニヤリと笑った王子様は
さっきまで私が喧嘩していた、
______ ドSの王子様でした。
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ヒロインって取り合いされがち→←テレパシーって信じたもん勝ち
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リノ(プロフ) - きゅんきゅんが止まらなくて心臓が潰れそうです。これからも楽しみにしています! (2020年10月23日 15時) (レス) id: fc408fc325 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini | 作成日時:2020年10月19日 4時